2015 年 64 巻 10 号 p. 1334-1340
メサラジン内服中に薬剤性肺炎を発症した潰瘍性大腸炎の3症例を経験した.45歳男性例はメサラジン内服3カ月後に咳嗽と両側性の浸潤影で,22歳女性例は内服1カ月後に咳嗽と発熱,両側性の浸潤影で,83歳男性例は内服8カ月後に咳嗽と発熱,片側性のすりガラス影で発症し,いずれの症例も同剤の中止のみで軽快した.他の原因を認めず,過去の報告例に類似した画像及び経過を呈していたことから,同剤による薬剤性肺炎と診断した. メサラジンの適応となる炎症性腸疾患の症例数は年々増加しており,これら症例に対する薬剤使用頻度のさらなる増加に伴い薬剤性肺炎の発生数も増加することが予想され,注意が必要と思われたため報告した.