2015 年 64 巻 9 号 p. 1242-1253
【目的】MAST®と比較しImmunoCAP®は特異的IgE抗体検出力が高い.MASTでスクリーニングされた喘息患者に対しImmunoCAPによる精査が推奨される患者の特徴を検討する.【方法】MASTにて14種類の吸入抗原特異的IgE抗体がすべて陰性の48名(A群)とダニへの強い感作が認められた44名(B群)の喘息患者を対象とし,ゴキブリやガなどに対しImmunoCAPを実施した.【結果】A群の27.1%においてImmunoCAPが陽性となった.少なくとも一つのアレルゲンに対するImmunoCAP陽性と総IgE値とが関連した(p=0.0007).B群では,ゴキブリ,ガのImmunoCAP陽性率は各々27.8%,52.3%であり,これらの感作も総IgE値と関連した(p=0.0003).【結論】総IgE値が一定の値を超える喘息患者では,MASTが陽性でなくても,ゴキブリやガを含め幅広く吸入抗原に対し感作されている可能性があり,ImmunoCAPによるアレルゲン精査が有用である.