2016 年 65 巻 1 号 p. 57-65
【背景・目的】ロイコトリエン受容体拮抗薬の成人のスギ花粉症に対する初期療法の有効性は既に報告されているが,小児特に就学前後の児童に対する有効性を臨床現場で検討した報告は認められないので今回検討することとした.【方法】就学前後のスギ花粉症児童を対象に2013年,2014年のスギ花粉飛散シーズンに,ロイコトリエン受容体拮抗薬による初期療法を行い,花粉飛散後に同薬剤を投与開始した場合の効果と比較検討した.【結果】2シーズンとも初期療法を行った群では夜間の睡眠状態が有意に良好であった.また,花粉飛散量の少ないシーズンの方が,多いシーズンと比べてより多くの症状に対して初期療法が有効であった.【結語】ロイコトリエン受容体拮抗薬は,就学前後の小児のスギ花粉症に対しても,初期療法の薬剤として有効であった.