アレルギー
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症例報告
全身症状を呈したリンゴアレルギーの5年間の経過
浅海 智之佐藤 さくら柳田 紀之山本 幹太海老澤 元宏
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2016 年 65 巻 9 号 p. 1219-1223

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抄録

症例は8歳男児.4歳から春と秋の花粉症を認めた.6歳時から給食後に鼻汁,鼻閉,目のかゆみ,呼吸困難を2カ月に1回程度認めたため,精査目的に8歳時に当院を受診した.病歴からリンゴアレルギーが疑われ,9歳時に入院食物経口負荷試験(OFC)を行った.リンゴ1個を摂取し,90分で咳嗽,鼻汁,眼瞼浮腫,結膜充血を認めた.14歳時に再度入院OFCを行い,リンゴ1個を摂取し55分で咳嗽,呼吸困難,喘鳴を認めた.8,9,11,12,13,14歳でのリンゴ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.35未満,0.36,0.54,0.47,0.66,ハンノキ特異的IgE(Ua/ml)は0.35未満,0.49,1.31,2.14,2.73,3.11,Mal d 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.13,0.25,0.45,0.88,1.1,Bet v 1特異的IgE(Ua/ml)は0.10未満,0.40,1.0,1.4,2.4,2.8といずれも上昇を認めた.Mal d 3特異的IgEは陰性のままであった.本症例は,全身症状を呈するリンゴアレルギーの感作状況を陰性時から経時的に追うことができ,なおかつ長期経過をOFCで確認できた世界初の報告である.全身症状を呈する果物アレルギーの自然歴の把握のために,同様の症例の蓄積が期待される.

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© 2016 日本アレルギー学会
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