アレルギー
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原著
Baker's rhinitis症例における小麦粉抗原に対するIgEおよび末梢血単核細胞応答の解析の試み
春名 威範岡野 光博藤原 田鶴子檜垣 貴哉假谷 伸牧原 靖一郎金井 健吾橘 智靖松山 祐子小松原 靖聡直井 勇人西﨑 和則
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2019 年 68 巻 1 号 p. 35-42

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抄録

【背景】パン製造従事者にみられる,小麦粉やライ麦粉の経鼻曝露による職業性アレルギー性鼻炎は,パン職人鼻炎(Baker's rhinitis)と呼ばれる.本疾患では,職場での継続的な抗原曝露は喘息を発症するリスクとなることが知られている.

【対象・方法】症例は34歳,男性.パン製造に従事した2年後より就労時の鼻症状を生じた.小麦に対するアレルゲン検査が陽性で,さらに小麦エキスによる鼻粘膜誘発試験も陽性を示し,Baker's rhinitisと診断した.就労中の抗原除去・回避指導と薬物療法を行ったが特に鼻閉に対する効果は得られず,手術を施行した.術後症状は改善し,就労への支障は消退した.また観察した範囲内で喘息の発症は認めなかった.本症例における小麦粉抗原に対する特異的IgEおよび末梢血単核細胞応答を解析した.

【結果】患者の特異的IgEはパン製造に供した6種類全ての小麦粉について,主に18kDaおよび30kDa付近の分子を認識した.さらに患者末梢血単核細胞はこれらの小麦粉抗原に対してIL-5およびIL-13を産生した.

【結語】小麦粉の水・塩可溶性コンポーネントはBaker's rhinitisにおいて選択的に2型サイトカイン産生を誘導する傾向が示唆された.

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© 2019 日本アレルギー学会
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