アレルギー
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原著
栄養士養成校における食物アレルギー関連教育の実態
今井 孝成高橋 享子高松 伸枝長谷川 実穂
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2019 年 68 巻 10 号 p. 1213-1220

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抄録

【背景・目的】食物アレルギー患者への栄養指導が十分に行われている状況にない.その理由に管理栄養士・栄養士養成課程の食物アレルギー教育が十分でない可能性が考えられる.今回管理栄養士・栄養士養成課程の食物アレルギー教育の実態を調査し,その問題点を明らかにする.

【方法】全国の栄養士および管理栄養士養成校に,郵送法で実態調査を行った.食物アレルギーに関する講義および実習の有無や時間などを調査した.

【結果】213施設(回収率75%)から回答が得られた.食物アレルギーに関する講義は96%の施設で行われ,講義時間の中央値は210分であった.実習は74%の施設で行われ,実習時間は90分であった.食物アレルギー教育の必要性を“強く感じる”が49%,“感じる”が50%を占めたが,理想的な教育実態があるのは32%であった.講義・実習等を今後増やす予定がないのは82%で,増やせない理由に“カリキュラムに余裕がない”が多かった.

【結語】管理栄養士・栄養士養成課程における食物アレルギー教育は十分とは言えず,教育現場はその問題に気づいていた.今後官民一体となって状況の改善に乗り出すことが強く期待される.

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© 2019 日本アレルギー学会
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