アレルギー
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症例報告
生物学的製剤を変更しコントロール良好となった小児重症喘息の1例
今井 朗滝沢 琢己佐藤 幸一郎井上 貴晴西田 豊八木 久子荒川 浩一
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2019 年 68 巻 7 号 p. 869-873

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抄録

小児気管支喘息治療において,生物学的製剤として抗IgE抗体(omalizumab)と抗IL-5抗体(mepolizumab)が使用可能である.我々は,omalizumabを投与中にコントロールが不良となり,mepolizumabへと切り替えて有効であった小児重症気管支喘息の1例を経験した.症例は13歳女児.1歳時に気管支喘息と診断され,inhaled corticosteroid(ICS)を使用したが急性増悪を繰り返した.ICSの増量,吸入法の変更を行っても急性増悪を繰り返し,最重症持続型と考えられた.10歳時にomalizumabを導入し,一旦改善したが,2年後からICSのアドヒアランス確認にもかかわらず小発作を認めるようになった.12歳時にmepolizumabへと変更した後からは急性増悪は消失し,呼吸機能も改善した.また,血清総IgE値や末梢血好酸球数の低下も認めた.omalizumabとmepolizumabは作用機序が異なるため,一方の効果が乏しくても,他方は効果を発揮する可能性があると考えられた.

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© 2019 日本アレルギー学会
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