アレルギー
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症例報告
ネコとイヌの両者に感作されたと考えられる小児期早期発症のpork-cat syndromeの1例
山田 早紀松原 康策千貫 祐子堀 雅之正木 太朗
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2019 年 68 巻 9 号 p. 1141-1147

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抄録

症例は6歳,女児.豚肉摂取後に全身の掻痒感や蕁麻疹が反復して来院した.住環境は自宅1階が獣医の両親が開業する動物病院で,犬を飼っている.抗原特異的IgEはネコ皮屑,イヌ皮屑,豚肉,Sus s 1,Fel d 2,Canf 1,Can f 2,Can f 3が高値(≥50UA/ml),プリックテストは生の豚肉と牛肉が陽性であった.患者血清IgEを使用したWestern blottingで豚肉とネコ被毛上皮抽出物中の同じ分子量(67kDa)の蛋白に結合を認め,阻害試験で交差反応が確認されたことを基にpork-cat syndromeと診断した.更に豚肉とイヌ被毛上皮抽出物にも交差反応が確認され,感作にネコとイヌ両者の関与が示唆された.食肉は十分に加熱し摂取することを指導し以後日常生活に支障はない.本症候群は感作から交差反応に数年以上を要するため思春期から若年成人発症例が多く,本例は調べ得た限り英文誌・和文誌の既報中最も若年発症であった.本症候群はペット動物-食肉アレルギー症候群の名称が病態を理解しやすい.

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© 2019 日本アレルギー学会
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