アレルギー
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原著
気管支喘息児の学童初期の肺機能は思春期年齢の治療レベルを予測する因子の一つとなる
吉田 之範深澤 陽平九門 順子山口 智裕上野 瑠美釣永 雄希中野 珠菜重川 周高岡 有理亀田 誠
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2022 年 71 巻 3 号 p. 221-230

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抄録

【背景】海外では気管支喘息(喘息)児の学童期初期の肺機能は思春期年齢の寛解率に影響すると報告されているが,我が国における報告はない.

【目的】喘息児の学童初期の肺機能が思春期頃の喘息治療に及ぼす影響について検討する.

【対象】2018年3月31日(調査時点)で16~18歳で当科に喘息で通院中の患者の中で,6歳以下から通院していた38名.

【方法】調査時点の治療ステップ(ステップ)を調査し,ステップ1~4の4群に分け6歳時の肺機能を比較した.

【結果】調査時点のステップ毎の人数は,ステップ1:11名,ステップ2:13名,ステップ3:6名,ステップ4:8名であった.6歳時点の肺機能のFEV1.0%はステップ1:88.4%,ステップ2:89.1%,ステップ3:86.9%,ステップ4:80.9%であった.%V50はステップ1:115.2%.ステップ2:107.9%,ステップ3:108.2%,ステップ4:69.9%であった.FEV1.0%,%V50ともに,ステップ4とステップ1(p<0.01),ステップ4とステップ2(p<0.05)であった.

【結論】思春期頃の治療ステップが4の患者はステップ1,2の患者と比べて,6歳時点で肺機能が低下していた.学童初期の肺機能は思春期年齢での喘息治療レベルの予測因子になる可能性がある.

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© 2022 日本アレルギー学会
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