2025 年 18 巻 p. 16-25
いじめは被害者と加害者だけではなく周囲の者も含めた集団の中で起こっている問題であり,生徒指導提要(文部科学省,2022)でもいじめの構造から考えた未然防止教育の重要性が示されている。いじめを抑止するには,仲裁者の出現が重要なポイントとなるといわれているが,仲裁することで自分もいじめられる恐れもあり実際にはいじめ抑止に繋がる行動をとる者は稀であることが報告されている。また,いじめの影響に関する研究では,自分がいじめ被害にあわなくてもいじめを目撃したりいじめを抑止することで心身に悪影響があることが報告されている。そこで本稿では,小・中学校でいじめを抑止した体験がある成人5名に半構造化面接を行い,いじめ目撃時から現在までの心理プロセスを明らかにするとともに,いじめ抑止行動を行う者への心理教育的援助サービスについて論じた。