錯視とは目の錯覚のことで,多くの芸術作品や娯楽作品に取り入れられてきた.本研究では錯視に対する理解を深めるべく,錯視作品が容易に制作できる支援ツールを提案する.今回は錯視の中でもトリックアートと呼ばれる作品の制作手法に注目する.特に「静止画だが動いて見える図形」に対象を絞り,その錯視効果の仕組みを調査・解析し,錯視が発生する条件を明らかにする.本研究では運動錯視の中でも「最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視」に注目する.最適化型フレーザー・ウィルコックス錯視の本質である錯視輝度パターンを使用し,パターンの配置,パターンの形状や大きさなどによって錯視効果が増減するかを調査・検証した.結果,錯視輝度パターンの組み合わせ方法や錯視輝度パターンと視野角との関係性について知見を得ることができた.この知見を応用し,錯視作品制作支援ツールを開発した.このツールを用いればユーザが指定した任意の画像に対して錯視輝度パターンを生成し,運動錯視が発生する画像を制作することができる.