2024 年 23 巻 3 号 p. 6_1-6_17
3DCG におけるキャラクタアニメーションでは,セルアニメのような手描きらしい動作を表現するために,コマ打ちを用いることがある.セルアニメにおけるコマ打ちは,少ないポーズ数で動作を表現するために,余剰な動作を省略し速さを強調することにより,現実動作とは異なる質感をもっている.したがって,現実動作に一様なダウンサンプリング処理を施しても,セルアニメに特有な動作の質感までは再現しづらい.そこで本論文では,モーションキャプチャデータをセルアニメらしい動作へ変換するシステム MoNACA (Motion transfer by Nakawari Adaptation for Cel-anime Articular trajectories) を提案する.MoNACA では,動作の距離配分と余剰性を考慮することで軌道曲線を純化し,その関節軌道から分割点群を選択することで,中割りポーズ群を決定する.さらに,セルアニメの平面性を再現するために微小回転を省略し,動作の視認性を高めるための最適視点位置を自動で決定する.変換動作およびシステム機能に対する評価実験により,MoNACA は,既存手法と比べ,より魅力的な動作変換を効率的に実現できることが実証された.