東北理学療法学
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症例報告
長期に渡る在宅運動療法で症状が改善している脳梗塞後遺症を有する閉塞性動脈硬化症患者の一例
小野寺 可奈恵五安城 亜希鈴木 浩司澤邉 泰四役 晃一千葉 友香熊谷 歩沼田 拓己菅野 遥高橋 香織河村 孝幸吉田 一徳
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2015 年 27 巻 p. 101-106

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抄録

閉塞性動脈硬化症 (ASO) の治療として、運動療法が推奨されている。我々は、入院中に両下肢ASOが判明した片麻痺を有する脳梗塞患者において、身体能力に応じた運動の選択と、患者および家族への指導により、6年間に渡り運動療法を継続している症例を経験した。症例は中等度~重度の右片麻痺と失語症を有し、自宅への退院後の運動不足を指摘された。そこで、運動強度の調整がしやすく長時間連続した運動を行いやすい自転車エルゴメーターを用いた。運動療法継続により冠危険因子の是正およびASOによる下肢虚血症状の改善、さらには歩行速度の向上が得られた。重複合併症を有する脳梗塞患者でも症例に応じた運動療法を工夫することで、心血管系疾患の再発リスクを長期間に渡り軽減できた。脳梗塞後遺症を有するASO患者でも、個々の身体能力に応じた運動療法を工夫しその適応を広めていきたい。

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© 2015 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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