東北理学療法学
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研究論文
直流前庭電気刺激が動的バランスに与える影響
添田 健仁
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2015 年 27 巻 p. 71-74

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抄録

【目的】健常人を対象にし,足踏み課題を用いて直流前庭電気刺激 (GVS) で荷重状況に変化はあるかという点について調査した.
【方法】健常成人14名を対象とした.課題は重心動揺計上での足踏み検査とした.対象者への刺激条件は2種の極性と3種の刺激強度を組み合わせた計6条件とした.
【結果】立脚相時間因子は1.5mAと2.5mAで陽極側が有意に増加した.遊脚相時間因子は1.5mAと2.5mAで陽極側が有意に減少した.離床荷重速度は1.5mAと2.5mAで両側において有意に増加した.接床から離床への移行変化は1.5mAと2.5mAで陰極側が有意に増加した.荷重再現性は両側とも差はなかった.
【考察】結果から急激な接床や荷重速度の増加によるバランスの低下を起こさず,陽極側立脚相延長を誘導できた.また,陰極側のみで接床から離床への移行変化が増加し,陰極側下肢の速やかな引き上げが陽極側への移動を促進した.離床荷重速度に関しては,陽極側と陰極側ともに増加しており,歩行のリズミカルな蹴り出しの改善に寄与できる.また,低刺激でも有効であり,刺激増強による不快感の回避が可能である.以上の現象は極性と刺激強度に関わらず,再現性を維持することを明らかにした.

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© 2015 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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