2015 年 27 巻 p. 86-90
本研究の目的は,股関節外転筋力(外転筋力)を例に挙げて最大随意性の筋力(最大筋力)について,最高値と平均値のどちらを採用すべきか,また最大筋力を何回繰り返して測定すべきか,を明らかにすることである.対象は健常女性23名で,方法としては被検者をベッド上腹臥位とさせ,等尺性の外転筋力を10回繰り返し測定した.それにより記録された外転筋力値をもとにして,ブートストラップ法によるシミュレーションを行った.その結果,最高値よりも平均値の方が値は安定し,かつバラツキが少なく正規分布に従うという性質を示した.よって,筋力測定値については平均値の方が最大値より適切な値であると考えた.また,値の変化は最高値でも平均値でも4回以降は緩やかとなったことから,信頼性の高い値を求めるには,4回程度測定が必要となるのではないかと考える.