2018 年 30 巻 p. 13-21
【目的】起き上がり動作時の角度,時間情報を三次元動作解析システムによって定量的に解析し,起き上 がり動作の再現性を検討すること。【方法】対象は健常男性17名であった。対象の自由な方法にて2通りの 速度の起き上がり動作を3回ずつ試行した。起き上がり動作の所要時間,角度,最大角度までの到達タイミ ングから級内相関係数ICC(1, 1)(1, 3)を求め,Spearman- Brownの公式を用い,級内相関係数が0.9以 上になる角度情報の回数の検討を行った。【結果】動作時間,角度情報は有意な級内相関係数が得られたが,最大角度までの到達タイミングに関しては,一部の関節運動において有意な級内相関係数が得られなかった。 角度情報の回数は,最大努力速度における体幹の左回旋で12.0回,至適速度における体幹の右回旋で4.9回が 最大値となった。【結語】健常者の場合,起き上がり動作に必要な関節角度はほぼ一定であるが,関節運動が最大になるタイミングは一定ではなかった。起き上がり動作の観察を行う際は,至適速度にて5回程度行うことが望ましい可能性が示唆された。