2024 年 36 巻 p. 50-57
【目的】高齢心不全患者における入院関連機能障害(HAD)重症度の関連因子を明らかにする。
【方法】後ろ向き観察研究とした。入院中に,心臓リハビリテーションを実施し,退院時にHADを認めた心不全患者連続111症例(年齢83歳,女性63%)を対象とした。Barthel Index(BI)を下位項目ごとに調査し,退院時に入院前より得点が5点以上低下した下位項目数をHAD重症度(範囲:1-10),HAD 重症度が2以上であることを,multiple-HAD(m -HAD)と定義した。まず,基本特性,Short Physical Performance Battery(SPPB),Mini-Mental State Examination(MMSE),栄養状態を独立変数としてHAD重症度の関連因子を,次に,独立変数をBI下位項目の機能的自立度としてm-HADの関連因子を解析した。
【結果】HAD重症度およびm-HADの関連因子はそれぞれ,SPPB(β=-0.254)およびMMSE(β=-0.237)と食事(オッズ比:2.766)および排尿コントロール(オッズ比:3.296)の非自立であった。
【結論】高齢心不全患者におけるHAD重症度の関連因子はSPPBおよびMMSEであり,m-HADと関連するBI下位項目は食事と排泄コントロールであった。