抄録
電気炊飯器の保温機能を利用し,加熱処理・除肉する方法で,骨格標本の作製を実践している.1升炊きの炊飯器であれば,キツネ成獣の死体が丸ごと入り,一度の処理で標本の作製が可能である.加熱処理期間はおよそ5~10日前後.加熱処理後は細目の笊に受けて水洗するだけで,死体は骨だけになる.水洗後,残った骨を乾燥させ,保存する.脂肪分が抜けず充分に乾燥できないときは,炭酸ナトリウムなどで脱脂を行なう.火気の心配がないこと,最小限の手間で作製できること,腐敗による悪臭を防ぐことができることなど利点も多く,大型獣の部分骨や,中型鳥獣の全身骨の作製には最適である.