人類學雜誌
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免疫グロブリンの遺伝標識 Gm 遺伝子に基づいた蒙古系民族の特徴
日本民族の起源について
松本 秀雄
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1987 年 95 巻 3 号 p. 291-304

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抄録

人種によって遺伝子型を異にするというユニークで,安定した在り方を示す免疫グロブリン(抗体) IgG の遺伝標識は,血液型の中で唯一の特異な特徴をもつものである。北方型蒙古系民族の標識遺伝子である Gmab3st 遺伝子の発見(1966年)を緒にして,日本人を中心に朝鮮民族,中国人(漢民族および少数民族),東南アジア,東アジア,南北アメリカに分散する蒙古系民族について,20年間にわたって検索した成績を集約した。蒙古系民族は基本的には4つの遺伝子,Gmag,Gmaxg,Gmab3st,および Gmafb1b3 をもつことで特徴づけられる。これらの遺伝子の分布と流れに基づいて,蒙古系民族は大きくは,北方型と南方型の2つのグループに分かれる。南方型蒙古系民族の標識遺伝子 Gmafb1b3 のルーツは中国南部の雲南,広西地域に,日本民族を含む北方型蒙古系民族の標識遺伝子 Gmab3st のルーツはシベリアのバイカル湖畔にあることを明らかにした。

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