1989 年 97 巻 3 号 p. 373-388
足部形状の個人差を明らかにするため,男女各152名について計測された右足の生体計測項目21項目の主成分分析を行なった。この結果抽出された形の因子を代表するような示数を考案し,これを用いてクラスター分析を行い,足型の分類を試みた。この結果,男女とも1)足軸の位置,2)ボール部の足軸に対する傾き,3)ボール部の幅,4)甲の高さ,の4つの形の因子が抽出された。クラスター分析の結果,男女とも4人以上から成るクラスターが7つできた。人数が最も多いクラスターを標準型とすると,標準型に入るのは男子で42%,女子では35%である。また,女子は男子よりも個人差が大きいようであり,男子では足の幅が広いタイプ(31%)が,女子では甲の高いタイプ(37%)がかなり多い。現代日本人の足部形状の個人差は,履物による足の変形の影響をふくんだものなので,履物の影響を受けない状態ではどのような個人差があるのかを明らかにするためには,靴を履かない集団の調査が必要である。