人類學雜誌
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仲の内遺跡(栃木県)出土の江戸時代人骨にみられた乳歯残存
茂原 信生芹澤 雅夫高橋 秀雄
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1991 年 99 巻 4 号 p. 477-482

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抄録

栃木県小川町の仲の内遺跡(江戸時代)から出土した女性と思われる人骨に乳歯残存,および萌出位置の異常がみられた.この人骨は軽度の歯槽性突顎を示し,上顎右第3大臼歯は先天的に欠損している.上顎右第2切歯が欠損し,第2切歯が萌出すべきところに犬歯が萌出し,本来犬歯が植立しているべき場所に乳犬歯が残存している.上顎左第2切歯は円錐歯形で,舌側にはみ出して萌出している.今回の例は,乳側切歯が欠如し,その結果永久犬歯の歯胚が近心に移動して側切歯部に萌出したことによるものと解釈できる.
ヒトの顎は退化傾向を示しており,顎骨の退化が歯に影響を与えていると考えられる.今後,日本人の歯の先天異常の報告を蓄積していくことは,咀噌器官の時代変化を明かにしていくために必要である.

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