2013 年 2013 巻 p. 371-398
第2期スシロ・バンバン・ユドヨノ政権も任期半ばに差し掛かった。政治的な安定は維持されているが,ユドヨノ大統領は政権内部でも与党内部でも困難に直面している。政権内部では,連立政党による造反行為によって政府の重要政策が実行できないという事態がまたしても繰り返された。与党内部においては,2011年に発覚した党を揺るがす汚職疑惑がさらに拡大し,ユドヨノ側近の現職閣僚にまで疑惑が及んで辞任を迫られる事態に至っている。根深い汚職体質は,国会の予算委員会,警察幹部,裁判官にまで広がっており,汚職撲滅委員会の終わりなき闘いが続いている。2014年の総選挙・大統領選挙が近づき,政界では選挙をにらんだ動きが活発化しはじめた。首都ジャカルタにおける州知事選はその前哨戦のひとつとして激しい選挙戦が展開されたが,政党に依存しない新しいタイプの政治家が示す新しい政治のあり方に有権者の支持が集まり,国民の注目を集めた。
経済は6%成長を維持した。自動車販売台数が初めて100万台を超え,引き続き好調な内需に支えられている。これに対して,天然資源価格の下落や鉱物・石炭鉱業法に関連した鉱石の輸出規制が影響して輸出額が減少した。加えて,直接投資が増加して原材料・資本財の輸入が増え,経常収支は赤字を記録した。これにインドネシア銀行(中銀)による金融緩和策が相まってルピア安も進んだ。国内では経済成長の恩恵にあずかるべく労働争議が頻発し,政労使の関係が見直されるべき時期に来ている。経済成長を重視する中銀は政策金利を引き下げるとともに,銀行業に関する中銀令を矢継ぎ早に定めたが,なかでも注目されるのは単一持株政策の改正である。一方,食の安全保障の強化を目的とした新食料法の制定や牛肉の輸入割当枠の大幅削減に対しては保護主義的傾向が指摘されている。
2009年に発足した第2期ユドヨノ政権も任期5年の折り返し点をすぎた。好調な経済を背景に国内情勢はおおむね安定しているが,インフラ開発の遅れといった政策遂行のスピードの欠如や与党幹部が関与した汚職事件(後述)などの影響で,政権に対する支持率が低下する傾向には歯止めがかかっていない。
連立政権の不安定さも相変わらず続いている。第2期ユドヨノ政権は,最大与党の民主主義者党(PD)にゴルカル党,福祉正義党(PKS),国民信託党(PAN),開発統一党(PPP),民族覚醒党(PKB)を加えた6政党による連立政権である。この6政党で国会定数の4分の3以上の議席を占めており,見かけ上の政権基盤は安定している。しかしながら,実際の国会運営においては,連立内の政党が政府の重要政策に反対するために政権運営が滞るという事態がしばしば発生している。そこでユドヨノ大統領も,連立与党間の政策調整機関「連立政党共同事務局」を設置するなど,政権の安定に腐心してきた。
しかし,2012年にも連立政権内の不和が表面化した。そのきっかけは,世界的な原油価格の上昇を受けて3月に政府が提案した補正予算案の国会での審議であった。政府が国会に対して石油燃料の値上げを伴う燃料補助金の削減を提案したのに対して,最終審議の直前に連立を組む福祉正義党が反対を表明したのである。福祉正義党の造反に続いて同じく連立を組むゴルカル党からも4月1日からの値上げ実施という政府案に対する修正要求が出され,政府・与党は「6カ月間の原油平均価格が15%以上変動した時に値上げを実施できる」という修正案で妥協することになった。ところが,福祉正義党はあくまでも値上げ反対を主張し,本会議での採決においても野党とともに反対票を投じた。
これに対して与党内からは,過去にも政権に非協力的な態度をとったことのある福祉正義党との連立は解消すべきだとの声があがり,にわかに内閣改造の可能性が示唆されるようになった。しかし,常に協力的とはいえないゴルカル党を政権内に抱えているだけに,大統領は連立政権の規模をできるかぎり大きく維持しておきたいと考えた。そのため,連立の解消も内閣改造も見送られることとなり,6月13日に大統領は,一時的に空席となっていた閣僚の後任人事のみを発表した。
まず,前任者が病死した保健相のポストには,小児科医で国家女性委員会副委員長だったナフシア・ムボイが任命された。また,2011年10月の内閣改造で前任者のギタ・ウィルヤワンが商業相に就任した後空席となっていた投資調整庁(BKPM)長官には,インドネシア大学社会経済研究所教授のハティブ・バスリが任命された。彼は経済自由主義を指向する有能な経済学者で,次世代を担う経済テクノクラートとして期待されてきた。ハティブ・バスリは,経済政策に関する大統領諮問機関・国家経済委員会(KEN)の副委員長も務めており,ユドヨノにとっては重要な経済政策のブレーンのひとりである。彼は,今回初めて政府の要職に任命されたことになる。第2期ユドヨノ内閣には実業家が多く入閣し,経済政策の保護主義化の傾向がみられるだけに,その歯止めとなるかが注目される。
与党民主主義者党の汚職疑惑が拡大連立政党間の不和以上に大統領を悩ましているのが,ユドヨノが最高顧問を務める与党・民主主義者党の複数の幹部が関与したとされる汚職疑惑である。発端は,2011年東南アジア競技大会選手宿舎建設計画をめぐって,事業発注官庁である青年・スポーツ担当国務相府,スポーツ事業関連の予算審議を所管する国会第10委員会や予算委員会,そして事業受注企業との間で贈収賄,公金横領などの汚職があったとされる事件であった。2011年4月に青年・スポーツ担当国務相府次官が汚職撲滅委員会(KPK)によって逮捕されたことで明るみに出たこの事件は,同年8月に民主主義者党の会計部長だったムハマド・ナザルディンが逮捕されたことを皮切りに,与党幹部を巻き込む一大スキャンダルに発展していった。
2012年4月には,国会第10委員会と予算委員会に所属していた民主主義者党副幹事長のアンジェリナ・ソンダクが汚職撲滅委員会に逮捕された。彼女の容疑は,東南アジア競技大会選手宿舎建設や国家教育省予算の大学病院建設計画が国会で審議されていた際に,予算の獲得と特定企業による事業落札のために賄賂を受け取って,委員会内で根回しをしていたというものである。
さらに,6月になると,青年・スポーツ担当国務相府が立案していた別の大型プロジェクトにも民主主義者党の同じ幹部らが関与していることが明るみに出た。それが,西ジャワ州ボゴール県ハンバランにおける総合体育施設建設計画にかかわる汚職容疑である。このプロジェクトについても,国会審議での予算拡充,落札企業の選定,さらには土地収用に至るまでナザルディンやアンジェリナを含む民主主義者党議員が関与していたとされている。さらに,一連の事件は2009年から青年・スポーツ担当国務相に就任していたアンディ・マラランゲンと民主主義者党党首のアナス・ウルバニングルムの指示と承認の下で行われていたとナザルディンが証言したことで,与党と政権に大きな打撃を与えることになった。
事件の捜査を続けていた汚職撲滅委員会は,12月6日,アンディをハンバラン汚職事件の容疑者に指定した。汚職撲滅委員会が2003年12月に発足して以来,閣僚経験者であっても次々と汚職容疑者として逮捕・起訴されてきたが,現職の閣僚が汚職容疑者に指定されるのはこれが初めてであった。アンディはその翌日,内閣に迷惑をかけたくないとして大臣を辞任した(後任には,民主主義者党議員のロイ・スルヨが2013年1月に任命された)。2010年の党首選の立候補者だったアンディにまで捜査の手が及んだことで,次の焦点はいつアナス党首に汚職撲滅委員会による捜査のメスが入るかに移った(2013年2月に汚職撲滅委員会はアナスをハンバラン汚職事件の容疑者に指定し,アナスは党首を辞任した)。
このほかにも,議員ではないが,企業家としてユドヨノと民主主義者党を資金面から支えてきたハルタティ・ムルダヤ党顧問会議委員(ムルダヤ・グループ創業者)が9月に別の贈収賄事件の容疑者として逮捕されている。与党の党首や与党出身閣僚をも巻き込む汚職疑惑は国民の耳目を集め,汚職撲滅に対する取り組みを国民にアピールしてきたユドヨノ大統領に対する信用を落とす結果になった。民主主義者党に対する支持率も10%を切るまで急落している。一連の汚職事件と党最高幹部の関与疑惑は,ユドヨノ退任後の有力大統領候補をもたない同党にとって極めて大きな打撃であり,党内でも「党存亡の危機に直面している」という危機感が広がっている。
国会・警察・司法に巣食う汚職と汚職撲滅委員会の闘いインドネシアにおける汚職は根の深い問題である。民主化以前のように「汚職は文化」と開き直るような声は聞かれなくなったが,その根絶にはほど遠い状況である。それでも,清廉な政府の樹立を公約のひとつに掲げたユドヨノ政権が発足してからは,汚職撲滅に向けた取り組みが本格化し,一定の成果も上がっている。そこで中心的な役割を果たしているのが,捜査,逮捕,公訴の権限を与えられている独立の汚職撲滅委員会である。2004年から2011年までの間に同委員会によって公訴された汚職容疑者は284人に上る。このなかでもっとも多いのは公務員の91人であるが,それに次いで多いのが国会・地方議会議員の49人である。2012年は民主主義者党議員の汚職事件が大きく報道されたが,このほかにも国会議員による汚職事件が相次いで摘発された。
とくに大きな事件に発展する可能性があるのが,国会の予算委員会に所属する議員が関与したとみられる贈収賄事件である。汚職撲滅委員会は,地方インフラ開発資金の配分に関する審議において特定の自治体への優遇的な資金配分を求める企業から賄賂を受け取ったとして,現職のワ・オデ・ヌルハヤティ議員(国民信託党所属)を1月に逮捕した。この予算審議においては他にも賄賂を受け取った議員がいるといわれている。さらに,予算の配分を決定する際には,各党の要求に沿った形で地方への資金割当てが決められ,各議員にも一定額の予算が流れていたとの疑惑もある。そこで汚職撲滅委員会は,予算委員会の事務局から証拠物品を押収するなど,この事件を委員会ぐるみの構造的汚職とみて捜査を進めている。
国会の予算委員会やその他の常任委員会での予算審議では,予算獲得を狙う地方自治体や企業と,政治家や中央官庁の官僚との間の癒着が常態化しており,「予算マフィア」と呼ばれる仲介者が暗躍していることが一連の捜査のなかで明るみにでた。不正な資金の取引を監視する政府機関である金融取引報告分析センター(PPATK)は,2003年から2012年の間に国会議員が関与する約2000件の金融取引に不正の疑いがあるという報告を出している。汚職撲滅委員会は,これらの報告などに基づいて政治家の関与する汚職の摘発に努めている。
インドネシアにおける汚職の根深さは,政治家の汚職だけではなく,汚職を取り締まるべき警察や司法にも広がっている点にあらわれている。2012年には現職の警察幹部が汚職容疑で逮捕されるという前代未聞の事件が発覚した。12月に汚職撲滅委員会によって逮捕されたのは,警察庁交通局長や警察大学校長などを歴任したジョコ・スシロ監察総監である。容疑は,交通局長時代に導入した運転シミュレーターの調達にあたって予算の流用や機器落札企業からの贈賄があったというものであった。
しかし,警察は汚職撲滅委員会による現職幹部逮捕を組織的に妨害しようとした。警察は,汚職撲滅委員会に出向中の捜査官20人を任期延長要請にもかかわらず引き上げると発表したり,この汚職事件の捜査チーム代表で警察出身の捜査官ノベル・バスウェダンを8年前の違法捜査の容疑者に指定して逮捕を強行しようとしたりするなど,警察と汚職撲滅委員会との対立が激化した。ついにはこれを見かねた大統領が介入し,汚職事件の捜査は汚職撲滅委員会が担当するよう指示を出したことで,ようやく両者の対立は収まった。
一方,司法部門でも汚職容疑で裁判官が逮捕されている。8月,汚職撲滅委員会は,中ジャワ州のスマラン地方汚職裁判所と西カリマンタン州のポンティアナック地方汚職裁判所の2人の特別判事を収賄容疑で逮捕した。この2人の特別判事は,2010年から各州に汚職裁判所が設置された際にノン・キャリアの判事として弁護士から転身してきた人物であった。彼らは,担当した汚職裁判の被告から賄賂を受け取っていたとみられている。地方汚職裁判所では汚職事件の被告に対して無罪判決が出されるケースが増えているが,その背景には,彼らのように判事が被告から金品を受け取っていることがあるのではないかと指摘されている。
12月には,キャリア判事の最高位にある最高裁判所判事が懲戒免職になるという事件が発生した。最高裁判事の解任はこれが初めてである。理由は,担当した麻薬製造犯の再審裁判において,判事団で決定した禁錮15年という判決内容を勝手に禁錮13年に書き換えたという罪である。この事実が明るみに出たことを受け,最高裁は3人の最高裁判事と4人の司法委員会委員から構成される名誉評議会を内部に設置して審理を行い,アフマド・ヤマニ最高裁判事の違法行為を認定して懲戒処分を決定したのである。なぜヤマニ判事がこのような行為をしたのかは不明なままだが,再審前の死刑判決が再審後に禁錮15年に大幅に減刑されたことなど判決のプロセスには不可解な点が多く,汚職の疑惑も浮上している。
ジャカルタ州知事選でジョコウィが当選次の総選挙・大統領選挙が近づくなか,7月11日にはジャカルタの州知事選挙が実施された。各党とも,2014年選挙を占ううえで重要な意味をもつ選挙と位置づけて,首都での知事選挙に臨んだ。
選挙には,無所属の2組を含む6組の正副州知事候補が立候補した。ただし,事前の選挙分析では現職知事のファウジ・ボウォがかなり優位にあるとみられていた。ファウジ候補は,州議会最大与党の民主主義者党など5政党から公認を受けていることに加えて,現職の強みとして官僚のネットワークを活用できるなど強固な組織基盤をもっていた。各種の事前世論調査でも,知名度や支持率の高さを反映して,ファウジの当選は確実との結果が出ていた。
ところが,7月の投票で得票率42.6%と事前の予想を覆し1位となったのは,中ジャワ州スラカルタ(ソロ)市長から転身してきたジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)候補であった。他方,現職のファウジは得票率34.1%で2位にとどまった。企業家であったジョコウィは,2005年に闘争民主党(PDIP)公認候補としてソロ市長に当選すると,都市整備,公共サービスの改善,汚職追放などの市政改革に積極的に取り組んだことが国内外から高く評価され,有能な市長として一躍有名になっていた。
その人気に目をつけてジョコウィを最初にジャカルタ州知事選に担ぎ出したのは,大インドネシア運動党(グリンドラ党)であった。同党の実質的指導者であるプラボウォ・スビアントは,2014年大統領選での当選を目指している有力政治家のひとりである。しかし,元陸軍戦略予備軍司令官でスハルト元大統領の娘婿でもあったプラボウォは,軍幹部として反政府活動家らに対する人権侵害事件に関与していたといわれており,マイナスのイメージがつきまとう。プラボウォは,そのようなイメージを払拭することを狙って,「庶民の味方」というプラスのイメージをもつジョコウィを資金面から全面的にサポートすることを決めたのである。
ジョコウィは,選挙期間中に一般市民が多く集まる市場や住宅地を積極的に歩き回って医療や教育の無料化などの政策を訴えるとともに,若年世代の支持者や選挙ボランティアの協力を得てFacebookやYouTubeなどのインターネット・メディアを駆使した運動を展開した。また,青白赤3色の格子柄シャツをシンボルとして着用し,それを有権者にも販売して選挙資金を募るといったイメージ戦略も展開した。新しい形の選挙運動にはマスコミの注目も集まり,その一挙手一投足がテレビ,新聞などで大きく取り上げられた。
7月の選挙では50%以上の得票率を獲得した候補者がいなかったため,ジャカルタ首都特別州統治法の規定に従って,上位2組となったジョコウィとファウジが9月の決選投票に進んだ。決選投票に向けた選挙戦は非常に激しいものとなった。2位のファウジは,ゴルカル党,開発統一党,福祉正義党など第1回投票で敗れた政党の支持を獲得するとともに,候補者の民族性や宗教性に訴えて有権者の支持獲得を狙う戦術に出た。ジョコウィの母親がキリスト教徒だという情報が流されて,敬虔なイスラーム教徒の支持をファウジ陣営に向けようとする動きがみられたり,ジョコウィの副知事候補であるバスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)が中国系住民(華人)であることがことさらに強調される一方,ファウジがジャカルタの原住民族であるブタウィ人であることが強調されたりするなど,宗教や民族感情に強く訴えるような選挙戦術がファウジ陣営によってとられた。激しい選挙戦は,直前の世論調査で両者の支持率がほぼ拮抗する結果として表れた。
しかし,9月20日に実施された決選投票では,ジョコウィが得票率53.8%でファウジを破り,新州知事に当選した。ジョコウィ勝利の要因は,人口約1018万人の半数以上を占める中間層の支持を得られたところにあるとみられている。彼らは深刻化している交通渋滞や雨季の洪水など,都市インフラの不足にもっとも不満を抱いていた有権者である。また,彼らの多くは特定の政党に組織化されていない無党派層であり,テレビやインターネットを通じて政治ニュースに接している有権者である。彼らにとってファウジは既成政党に依存した「古い政治家」であり,急速な経済成長と都市化が進むジャカルタを変えるにはジョコウィのような新しい政治家の登場が必要だと考えたのである。
ジョコウィ人気はジャカルタにとどまらず,全国的な広がりをみせている。2013年には西ジャワや中ジャワ,東ジャワ,北スマトラなど大票田を抱える州の知事選挙が実施される予定だが,「第2のジョコウィ」を狙う各地の候補者から応援要請が届いている。2014年大統領選の有力候補者と期待する声まであがっており,ジョコウィの動静は今後も注目の的となりそうである。
(川村)
2012年の国内総生産(GDP)の実質成長率は目標値の6.5%を下回ったものの6.2%増と3年連続の6%成長を記録した。自動車販売台数が初めて100万台を突破し,ジャカルタ総合株価指数は11月に最高値を更新した。一方で,8月の失業率ならびに3月の貧困者比率はどちらも前年から0.5ポイント下がってそれぞれ6.1%,12.0%となったものの,これらの数値は期待されたほど低下していない。所得の不平等度を示すジニ係数の値も近年徐々に高まってきており,貧困削減と格差縮小を伴うような包摂的な経済成長が課題となっている。
GDPを生産部門別にみると,運輸・通信(前年比10.0%増),商業・ホテル・レストラン(同8.1%増),建設(同7.5%増)の順に高かった。製造業は5.7%増だが,石油・ガス精製業を除いた非石油・ガス部門の伸びは6.4%増と前年に続きGDP成長率を上回った。輸送用機器の成長率は6.9%増と前年を0.1ポイント上回り,食品・飲料・たばこは前年を1.4ポイント下回るものの7.7%増であった。
需要項目別で確認すると,民間消費の成長率は5.3%増,寄与度は2.9%と最大であった。製造業の成長にも反映されているように,2012年の自動車販売台数は前年比18.9%増の106万台を記録した。対して自動二輪車販売台数は18.2%減の658万台と落ち込んだが,これは中銀による頭金規制(後述)が中間層以下の所得階層により強く影響を及ぼしたためとみられている。
投資は9.8%増,寄与度は2.4%であった。投資調整庁発表の投資実績(石油・ガス,金融部門は除く)でみると,直接投資総額は目標額を上回る313兆ルピアと過去最高となった。海外直接投資(FDI)は26.1%増の246億ドル,国別ではシンガポールの占める割合が19.8%と最大で,次いで日本(10.0%),韓国(7.9%)と続く。国内直接投資は21.3%増の92兆ルピアであった。
輸出は2.0%増,財輸出は1.7%増だったが,名目値でみた財輸出額(本船渡条件,FOB)は6.3%減の1881億ドルであった。内訳は,石油・ガス輸出が6.6%減の356億ドル,非石油・ガス輸出は6.2%減の1526億ドルであった。通関ベース(中央統計庁速報値)で非石油・ガス輸出の内訳をみると,品目別シェアで上位の5品目は,鉱物性燃料(前年比3.8%減),動植物性油脂(同1.6%減),電子機器(同3.4%減),ゴム・同製品(同27.0%減),一般機械(同6.1%増)と一般機械以外は軒並み前年比マイナスとなっている。天然資源は国際価格下落の影響が大きかった。
輸入は6.6%増であった。名目値でみた財輸入額(FOB)は前年比8.3%増の1797億ドル(運賃・保険料込み条件では1917億ドル)であった。石油・ガス輸入が5.1%増の407億ドルで,そのうち石油(原油・石油製品)が3.0%増の382億ドル,ガスは53.7%増の25億ドルであった。非石油・ガス輸入は9.2%増の1390億ドルで,通関ベース(運賃・保険料込み条件,CIF)でその内訳をみると,品目別シェアの高い順に一般機械(前年比14.9%増),電子機器(同3.6%増),鉄鋼(同18.2%増),輸送機器(同28.3%増),プラスチック・同製品(同4.5%増)と続く。また,通関ベースで財輸入を目的別でみると,資本財が15.2%増,消費財は0.2%増,原材料が7.0%増と直接投資の増加により資本財・原材料の輸入が大きく伸びている。
国際収支をみると,貿易収支は黒字となっているが,その幅が大きく縮小したことにより,経常収支は242億ドルの赤字となっている。これにより2011年第2四半期には1197億ドルと輸入・政府対外債務返済額の8カ月分にまで達した外貨準備高は,2012年末には6カ月分相当の1128億ドルとなっている。
中央銀行による景気安定化策英『エコノミスト』11月10日号は,過去5年間の経済成長率で国際比較するとインドネシア経済がもっとも安定していると述べたうえで,その一因として中銀による弾力的な政策をあげた。中銀は,6%成長を達成すべく,欧州情勢を睨んで東南アジアではもっとも早く2月に6%から5.75%に政策金利を引き下げた。金利引き下げには包摂的成長のために中小企業へ資金を回すという目的もあった。
ただし,この金融緩和に対する警戒感と経常収支の悪化に対する懸念から,ルピア安が進んだ。ルピアの実質実効為替レートは,2012年12月時点で前年比マイナス4.5%となっている。経常収支の悪化をもたらした原因として,投資の増加に伴う原材料・資本財の輸入増や,輸出を牽引していた石炭など天然資源の国際価格の下落があげられている。これに対して,外貨準備高が減少したことによりドル売り介入が困難となったことから,国内への外貨流入を増やすために,1月2日発効の中銀令では,企業が輸出や借り入れを行う際に発生する外貨受け取りには国内の外国為替銀行を経由させることが義務付けられた。また,国内為替レートとシンガポール銀行協会のレートの差が拡大していることから,ある一定の為替レートの水準を超えた取引は行わないよう,国内銀行に対して中銀が道徳的説得をしているという市場関係者の指摘もある。
一方,資産バブルの芽を摘むことを目的に,3月16日,中銀は資本市場金融機関監督庁(BAPEPAM-LK)とともに,自動車・自動二輪車ローンの頭金比率,住宅ローンの借入金比率(LTV:Loan to Value)を規制する通達を発表した(6月15日発効)。住宅(広さ70平方メートル以上)に関するLTVを最大70%,自動車・自動二輪車の頭金をそれぞれ25%・30%以上とすることが規定された。住宅ローンは2011年9月に前年比43%増,自動車・自動二輪車向けローンは同62%増に上っていた。
経済成長を重視する中銀にとっては物価の安定が重要である。ルピア安はインフレ圧力を高める一方,輸出を回復させることが期待される。為替レートは実勢レートからの乖離が進んでいるといわれるが,これが外貨に対する選好をより強めて今後ルピア安が急激に進む可能性がある。
頻発する労働争議最低賃金の引き上げと業務の外部委託の禁止を要求する労働組合によるデモが首都圏を中心に全国各地で頻発した。最低賃金は,通常前年の11月末に各地で決定される。西ジャワ州では,2011年11月21日付州知事決定により州内の各県・市最低賃金(UMK)が定められたが,日系企業も多く進出しているブカシ県の経営者連盟(Apindo)は同年12月20日,バンドゥン行政裁判所に同知事決定の無効を訴えた。最低賃金は2001年以降,各地域で計算された適正生活費(KHL)をもとに政労使で構成された賃金評議会の協議を経て決められることになっているが,州知事決定の内容がその合意額を大きく上回る金額になっていたためである。1月26日,裁判所が州知事決定を無効とする判決を下し,これを不服として労働者側は直後からデモを起こし,翌27日には高速道路を封鎖するなどの対抗措置をとった。ただし27日のうちに中央政府が仲介し,同日付でブカシ県UMKのみを改定した新しい州知事決定が出された。これにより同UMKは月額149万1000ルピア(約1万5000円)となった。無効となった決定から866ルピア下げられたにとどまったため,ほぼ労働者側の要求が通った形で決着をみたことになる。
次に大きな争点となったのは,派遣・請負といった外部委託である。2003年労働法により解雇規定が厳しくなり正規雇用のコストが高まったことから,企業の間では外部委託により非正規社員に労働法で認められた補助的業務以外も担当させることが常態化していた。2011年3月21日の労組幹部による違憲審査請求に対して,1月17日,憲法裁判所は労働法の請負と派遣について有期雇用契約を認めた条項に対して,正規雇用者との間に権利保護に関して差別を設けているとして違憲判決を言い渡した。これを受けて,5月1日のメーデーで労組側は政府に対して外部委託禁止の法制化などを求める一方,ジャカルタでは全インドネシア労働組合総連合(KSPSI),インドネシア福祉労働組合総連合(KSBSI),インドネシア労働組合総連合(KSPI)の3総連合がインドネシア労働者評議会(MPBI)の設立を宣言した。なお,国内には6つの総連合,91の連合,437の企業組合,そして170の国営企業組合があり,総組合員数は341万4455人とされる。
9月以降になると,外部委託の取り扱いに加えて2013年最低賃金水準をめぐる争議が相次いだ。10月3日にはMPBIが全国一斉ストライキを呼びかけ,当日はジャカルタでは2万人がデモ行進に参加したとみられている。ソフヤン・ワナンディApindo会長は,10月3日以降いくつかの企業が操業停止・労働者の一時解雇に追い込まれ,企業に海外へ工場を移転する動きがみられると警告している。しかし,ハティブ・バスリ投資調整庁長官は海外へ投資が逃避する動きは皆無であると否定し,11月末にはユドヨノ大統領が暴力には反対としながらも労働者側を擁護する発言をしているように,中央政府は基本的に労働者側に配慮した発言を繰り返している。11月14日,当初の予定よりは遅れたものの,政労使による三者協議後,労働力・移住相が同日付で外部委託条件に関する大臣令2012年第19号に署名した。この結果,派遣については労働法解説文で例示されていた5種,すなわち清掃,ケータリング,警備,鉱業・石油産業の補助サービス,従業員輸送サービスに限定されるなど,1年以内により厳しい基準の下で外部委託を運用することが義務付けられることになった。
2013年最低賃金水準については,ジャカルタ特別州での大幅引き上げが注目された。前年に続いて抗議の意から経営者側代表が退場し,経営者側不在の場で決定された賃金評議会案をほぼ受け入れて,11月20日,州知事は州最低賃金(UMP)を前年比44%増の月額220万ルピアとする決定を出した。北スマトラ州メダン市など各地でも最低賃金水準の大幅引き上げが相次いだため,ヒダヤット工業相は12月17日,労働集約産業は最低賃金導入が免除されるよう交渉していることを明らかにした。また,ムハイミン・イスカンダル労働力・移住相は中小企業向けに税制上の優遇措置を付与する考えがあることを12月20日に明らかにしている。一方Apindoは12月23日,最低賃金水準や外部委託など雇用に関する政府の決定の多くについて,三者協議の場で話し合われたことが最終的に反映されていないことを不服として,三者協議の場から代表を引き上げる可能性を示唆した。
労組によるデモが頻発している背景には以下の点が指摘されている。第1に,正規雇用を躊躇させる厳しい解雇規定のある労働法の存在がある。同法の抜本的改正の必要性はユドヨノ政権発足時から認識されているが,一度2006年に法改正に失敗しており,2014年の任期末までに実現される見込みは極めて低い。第2に,過去3年間6%成長が続いているものの,失業率の低下は緩慢である。他方,技術者や中間管理職は不足している。この労働市場における需給のミスマッチを解消すべく,労働生産性を高める取り組みが必要である。最後に,首長直接選挙での再選を考慮して地方首長が大衆迎合的な行動をとる傾向が指摘されており,これが労使間交渉を複雑にしている。中間所得層の成長のためには賃金上昇も必要であるため,政労使による柔軟な対応がとれるような制度設計が必要である。
包摂的成長のための金融政策国内銀行は国営銀行を中心に高い業績を誇っている。世界の公開会社上位2000社を毎年発表している『フォーブス・グローバル2000』ではインドネシアから10社がランクインした。うち5社が銀行で,479位のインドネシア庶民銀行を筆頭に,マンディリ銀行,バンク・ヌガラ・インドネシアの3国営銀行,そして民間からはセントラル・アシア銀行とダナモン銀行が入った。しかし,成人の5人に1人しか口座を保有していないという世界銀行の調査結果が示すように,金融サービスのアクセス拡大(金融包摂)は重要な課題である。6月には金融包摂をテーマにした第1回ASEAN会合がジャカルタで開催され,G20サミットではユドヨノ大統領が金融包摂イニシアティブに関する共同声明に署名した。
11月23日,中銀総裁ダルミン・ナスティオンは年次総会の場で「持続的・包摂的成長に向けて:世界的混乱のなかでの挑戦」と題した演説を行い,その直後から銀行業にとって大きな転換となる中銀令を矢継ぎ早に打ち出した。11月28日,バーゼルIIの基準にのっとり,国内商業銀行は2012年12月時点でのリスク・プロファイルにより第1段階(低リスク)から第5段階にまで分けられ,その段階に応じて2013年3月までに8%から14%までの最低自己資本比率が適用されることになった。また,外資系銀行は2013年6月から負債の8%を社債・国債(CEMA)の形で保有する義務を負うことになっている。CEMAは2017年12月以降には最低1兆ルピアに達している必要があるが,こうした措置は外資系銀行が破綻した場合に備えるためとされる。
12月21日には,中小企業への貸出比率を2015年から5%ずつ引き上げ,2018年以降は20%とすることが定められた。そして12月27日,商業銀行の支店設置にあたってはTier1(業務継続ベースの自己資本)に応じて設定されたカテゴリーごとに,そして支店の機能・地域別に異なる最低資本額が適用されることになった。銀行が少ない地域ほど支店開設に必要な資本はより小さくなっており,これにより商業銀行の地方進出が促されるものと期待されている。
12月26日には,2006年中銀令に代わる新たな単一持株政策(SPP:Single Presence Policy)が定められた。注目すべきは,従来は2006年中銀令実施時に複数の銀行を所有する場合にのみ銀行持株会社化が認められていたのに対し,今回はその制限がなくなった点である。また,国内銀行または政府機関が支配株主である場合を想定した持株機能(Fungsi Holding)という新しい選択肢が導入された。
一方,これら金融業の監督を担当する金融サービス監督庁(OJK)は,12月31日に資本市場金融機関監督庁および大蔵省の一部の権限が移転されるのを控えて,6月19日,国会第11委員会で理事8名が選出されるとともに,初代長官に中銀副総裁ムリアマン・ハダドが選ばれた(7月18日就任,任期5年)。
銀行業に関しては1998年銀行法の改正案が国会で審議されている。外資系銀行による国内銀行の所有を制限する方針が報じられており,SPPに関する中銀令などとの整合性も含めてその行方が注目されている。また,現中銀総裁の任期が2013年5月23日に終了する。今後もこれまで同様に経済成長を重視する政策が維持されるかどうかに関心が集まっている。
食の安全保障と保護主義的傾向8月6日,農業省での限定閣僚会議の後,ユドヨノ大統領はBULOG公社の価格調整対象品目の拡大を指示した。これにより,2004年以降管理してきたコメに加えて,砂糖・トウモロコシ・肉・大豆もBULOG公社の管轄下となる。2012年は大豆と砂糖の管理から先行して始められることになったが,BULOG公社の役割を規定した政令2003年第7号は2012年末時点でまだ改正されていない。大統領は食料増産の必要性にも触れ,とくに農地の居住地・工業地への転用が問題であるとして,転用を制限する新しい規則を制定する必要性に言及した。価格安定を目的としてBULOG公社は小売業にも進出しはじめており,BULOGマートを2012年中に100店舗,最終的に1800店舗を展開する予定である。
10月18日には食の安全保障の強化を目的とした新食料法(法律2012年第18号)案が国会で可決された(11月17日施行)。旧法(法律1996年第7号)が他の法令と整合性がとれなくなってきたこと,なかでも商業省の農産物に関する輸出入規制が農業省の規制としばしば矛盾することが問題となっていた。同法によると今後3年以内に大統領直属の新機関が創設される。現在は農業省傘下にある食料安全保障庁(BKP)や,大統領を議長とする食料安全保障会議(DKP)の業務などが引き継がれることになる。この新機関は食の安全保障に関する政策を決定する権限をもち,大統領に直接提言することができる。
こうした政策の背景にあるのは,輸入農産品の価格高騰である。たとえば一般家庭の食卓に欠かせない発酵食品テンペの材料である大豆は,消費量の7割を輸入に頼っている。輸入大豆価格は1月の1キロ当たり8287ルピアから年末には9380ルピアに13%上昇した。これはアメリカの干ばつの影響を受けて国際価格が高騰したためである。8月,政府は大豆輸入関税(5%)を一時的に撤廃し,テンペ・豆腐(タフ)業者協会が独自に輸入できる措置をとった。また,市場競争監視委員会(KPPU)は大豆輸入業者をカルテルの疑いで調査している。
さらに,年末にかけて深刻な問題となったのが牛肉であった。引き金となったのは,2012年の冷凍牛肉・生体牛の輸入割当がそれぞれ前年比62%減の3万4000トン,同29%減の28万3000頭と設定されたことであった。これは農業省の2010年から2014年にかけての中期開発計画で掲げられた自給率90%という目標達成に向けた輸入制限の一環である。ただし,より直接的には,屠殺方法が残虐だという理由でオーストラリアが2011年に生体牛の輸出を一時的に停止したことがきっかけであった。牛肉の輸入割当削減は価格高騰を招き,年初の1キロ当たり7万2000ルピアが年末には19%増の8万6000ルピアとなった。12月には肉団子(バッソ)に豚肉が混入されていた事件が世間を騒がせ,さらに輸入割当をめぐっては2013年1月に福祉正義党党首を巻き込んだ汚職問題にも発展している。
こうした新食料法制定や牛肉の輸入割当枠の削減に対しては保護主義的傾向が指摘されている。また,そもそも主食のコメの生産量ひとつとっても常に農業省と中央統計庁で数値が食い違うなど,政策の判断材料となる正確な情報が揃っておらず,農業分野においても課題は山積している。2013年には農業センサスが実施されるため,良質な情報の収集・活用を通じた農業政策の改善が期待される。
憲法裁判所の判決による政府機関の消滅11月13日,憲法裁判所は2001年石油・天然ガス法(新石油ガス法)の一部条文について違憲との判断を下した。石油・ガス上流部門執行機関(BP Migas)が生産分与契約により採掘業務を国営・民間企業に任せていて国が関与していないことが憲法違反とされたのである。その結果,同法に基づいて2002年7月16日に設立されたBP Migasは解散させられることになった。ただし,混乱を招かないために,監督機関の設立根拠となる新しい法律が成立するまで生産分与契約に関するBP Migasの権限はエネルギー・鉱物資源省に引き継がれることとなった。
2004年にプルタミナ労働組合が起こした同法の違憲審査請求は,当時の憲法裁長官ジムリ・アシディキの下で退けられており,今回の判決は大きな驚きをもって受け止められた。今回の原告団はイスラーム組織を中心にした12団体・30人で,ディン・シャムスディンが議長を務めるインドネシア第2のイスラーム団体ムハマディヤが含まれている。また,国内最大のイスラーム団体のナフダトゥール・ウラマ(NU)からはハシム・ムザディ元議長や故アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領の弟サラフッディン・ワヒドも原告団に加わっている。
政府の対応は素早く,違憲判決と同日付で署名されたBP Migas機能の移転に関する大統領令がその翌日に発表された。業務を引き継ぐべく同省内に石油・ガス上流部門執行一時対策本部(SK Migas)が設置され,本部長はエネルギー・鉱物資源大臣が一時的に兼務した。その後,2013年1月10日付大統領令により石油・ガス上流部門執行特別対策本部(SKK Migas)が設置され,翌日には,エネルギー・鉱物資源副大臣ルディ・ルビアンディニが本部長に任命された。
政府は今後の方針について検討中である。国会第7委員会が法改正に関する会議に参考人として招致したジムリ前憲法裁長官は,政府が訴訟リスクを背負わないためにも,法人設立が望ましいとしている。今後,同様の混乱を招かないために法改正にも細心の工夫が求められる。
未加工鉱石輸出規制に対する最高裁判決インドネシア・ニッケル協会(ANI)は11月,未加工鉱石の輸出を禁じたエネルギー・鉱物資源大臣令2012年第7号の4つの条文に9月12日付で最高裁判所が無効判決を下していたことを明らかにした。4月にANIは同大臣令が上位法である2009年鉱物・石炭鉱業法(新鉱業法)に違反しているとして訴えていた。
新鉱業法の下では国内需要の優先,雇用の確保,輸出の高付加価値化を目的として2014年からの原石輸出が禁止される。この政策には各国から強い懸念が表明され,日本政府も交渉を続けている。他方,当然のことながら新鉱業法成立後,鉱石の輸出が急増した。日本がその輸入の54%(2011年)を依存しているニッケル鉱石の場合,輸出は2009年の1044万トンから2011年の4079万トンへと急速に膨れ上がっている。これを危惧した政府は2月6日付で大臣令2012年第7号を出し,鉱業ライセンス(IUP)保持者に対して3カ月後の5月6日から14種類の未加工鉱石の輸出禁止を決定した。この拙速な措置にはANIをはじめ業者が反発し,また,政府も3カ月での製錬所建設は非現実的であることを認識して,5月16日付署名の大臣令2012年第11号を定め,条件付きで鉱石の輸出を認めることにした。すなわち,同省からの推薦ならびに政府の環境政策に従っていること,具体的な製錬所建設計画があり,2014年には未加工鉱石輸出を停止するという誠実協定を政府と結ぶことなどを条件に,IUP保持者が鉱石を輸出できることになった。ただし20%の輸出税が課されることになっている。
最高裁判決が政府のもとに届いたのは2013年1月になってからであり,政府にはその後90日以内に対応する必要がある。加えて,今後は新鉱業法関連の法令にも違憲審査が申し立てられる可能性も高いため,政府は新鉱業法に関連する海外との交渉のみならず国内の動向にも注意深く対応する必要がある。
(東方)
「インドネシアの外交が目指したのは『平和と繁栄の創造』であった」。マルティ・ナタレガワ外相は2012年のインドネシア外交を振り返ってこう述べた。経済成長を謳歌しているインドネシアにとって,地域の平和と安定を維持することはますます重要な外交課題となっている。なかでも東南アジア地域における平和と安定の維持にとって重要なのがASEANである。
しかし,2012年7月にカンボジアの首都プノンペンで開催されたASEAN外相会議では,加盟国間の対立があらわになった。共同声明の文案を策定するなかで,中国との対立を抱えるフィリピンやベトナムが南シナ海問題を明記すべきと主張したのに対して,中国との関係が深い議長国カンボジアが慎重な姿勢を崩さなかったことで議論が紛糾したのである。マルティ外相は,議長の立場ではないにもかかわらず,18もの共同声明案を作成して調整にあたったが協議は不調に終わり,ASEAN45年の歴史のなかで初めて共同声明が採択されないという事態に至った。
ASEANの協調体制が崩れたことを重くみたユドヨノ大統領は,帰国したマルティ外相に「南シナ海問題に対する各国の共通の立場を築く」べく直ちに関係国間の調整にあたるよう命じた。マルティ外相は,フィリピン,ベトナム,カンボジア,シンガポールを訪問して各国の外相と相次いで会談し,南シナ海問題に対するASEANの基本的立場に関する声明を取りまとめようと奔走した。その結果,ASEAN加盟諸国の統一見解として,2002年の「南シナ海行動宣言」の完全履行,法的拘束力のある「行動規範」の早期策定,国際海洋法条約の遵守や武力の非行使などを盛り込んだ6原則が確認されたと議長国カンボジアのホー・ナムホン副首相兼外相が7月20日の会見で発表した。
結局,中国との関係をめぐって表面化したASEAN内部のほころびは,議長国ではないインドネシアの外交努力によってひとまず修復された。インドネシアは2011年には議長国としてASEAN外交を牽引したが,域内大国としての存在感と外交力は2012年のASEAN内部での対立と調整のなかでも遺憾なく発揮された。
出稼ぎ労働者の保護インドネシア政府にとって,在外国民の保護は重要な外交課題である。とくに,100万人以上のインドネシア人労働者が滞在するマレーシアやサウジアラビアでは,毎年のようにインドネシア人に対する暴行や強姦,賃金不払いなどの事件が発生している。2012年にも11月にマレーシア警察や雇用主からインドネシア人労働者が暴行を受けた事例が発覚した。そこで政府は,出稼ぎ先の政府と労働者の権利保護に関する交渉を続けてきた。その結果,インドネシア人が巻き込まれた事件の数は,2011年の3万8880件から2012年には1万9218件に半減した。
一方,出稼ぎ先で犯罪を犯して刑事罰を受けているインドネシア人をどう保護するかという課題に対しても政府は取り組んできた。これらのインドネシア人のなかには,雇用主から暴力や暴行を受けて止むに止まれず犯罪に走った者や,必ずしも民主的ではない政府の下で自国民に有利な裁判で重い刑罰を科された者がいることから,インドネシア政府は現地政府と交渉を行って刑の軽減や犯罪人の帰国を実現しようとしてきた。その結果,2012年には110人のインドネシア人が死刑を逃れることができ,うち33人は無罪放免で帰国が許されている。
4月に国会で「すべての移住労働者およびその家族の権利の保護に関する国際条約」が批准されたことを受け,政府は出稼ぎ労働者の保護に関する制度整備をさらに進める予定である。ただし,海外で刑が確定した犯罪人については,これまで国庫で負担してきた保釈金の支払いを今後も政府の責任として続けるのかといった問題も浮上している。
(川村)
労働争議は政労使の三者協議が機能するような制度の再設計が必要である。また,2014年から未加工鉱石の輸出が禁止されるが,製錬所の国内建設促進にはジャワ島以外でもインフラ整備を進めることが不可欠である。経済成長が雇用増や貧困削減にかつてほど寄与しなくなっており,より直接的に対象を絞り込んだ政策が必要となっている。そのためにも燃料補助金の削減は急務である。2014年10月の任期切れが間近に迫ったなか,ユドヨノ大統領がどの程度思い切った政策をとれるか,海外からも大きな注目が集まっている。
ところが,与党・民主主義者党の幹部が関与した汚職疑惑が次々と表面化し,ユドヨノ大統領は政権運営だけでなく党運営にも労力を費やさざるをえなくなっている。政権のレームダック化を心配する以前に,自身の政治基盤の立て直しがまずは必要な状況である。一方,ユドヨノ後を狙う各党も決め手を欠いている。汚職疑惑のない政党はひとつとしてなく,次期大統領候補として名前のあがっている政治家も決め手を欠く。新しい政治家の登場を望む声は強まる傾向にあるが,それはポピュリストの登場を促す下地にもなりうる。
(川村:地域研究センター)
(東方:地域研究センター)
1月 | |
4日 | 憲法裁,立候補直前まで政党員だった人物が選挙実施機関委員に就任できるとした総選挙実施機関法の条項に違憲判決。 |
5日 | ジャカルタ汚職裁,消防車調達汚職事件の裁判でハリ・サバルノ元内相に禁錮2年半の実刑判決。 |
17日 | 憲法裁,派遣労働者と正規雇用労働者の権利保護に差別があるとして2003年労働法の一部条項に対して違憲判決。 |
18日 | ムーディーズ社,インドネシアのソブリン格付けをアジア通貨危機前の水準である投資適格級に引き上げる。 |
24日 | ランプン州南ランプン県で地元住民同士が衝突して暴動に発展,住居50軒が焼失。県政府は25日に緊急事態を宣言。 |
26日 | 西ヌサトゥンガラ州ビマ県で県政府による鉱山操業認可に対して地元住民が反発して大規模なデモが発生,暴動に発展。 |
26日 | 汚職撲滅委員会,国民信託党議員ワ・オデ・ヌルハヤティを収賄容疑で逮捕。 |
26日 | バンドゥン行政裁判所,最低賃金に関する西ジャワ州知事決定を破棄。翌27日,これに反発する労働者が大規模デモを組織。中央政府の仲介で西ジャワ州知事が最低賃金に関する新しい決定を発出。 |
2月 | |
9日 | 中銀,政策金利を6%から5.75%に引き下げる。年内は同水準を維持。 |
21日 | 政府,新規契約における外資による鉱物採掘会社株の所有を49%以下に制限。 |
25日 | ランプン州メスジ県と南スマトラ州オガン・コメリン・イリル県で住民約300人が土地の所有権をめぐる争いからオイルパーム農園事務所を襲撃。 |
3月 | |
1日 | 最高裁長官にハッタ・アリが就任。 |
2日 | 最高検,大蔵省租税総局職員ダナ・ウィドヤトミカを汚職容疑で逮捕。 |
9日 | ウィジョヨ・ニティサストロ元経済担当調整相,死去。 |
13日 | 大統領,来訪中のリー・シェンロン・シンガポール首相と会談。犯罪人引渡条約の交渉再開で合意。 |
16日 | 中銀と資本市場金融機関監督庁,6月15日から自動車などのローンの頭金を引き上げると発表。 |
22日 | 大統領,中国を訪問(~25日)。胡錦濤国家主席,温家宝首相らと会談。 |
22日 | 国会,総選挙委員会および総選挙監督庁の新委員(任期2017年まで)を選出。 |
25日 | 大統領,第2回核安全保障サミット出席のため韓国を訪問(~29日)。 |
31日 | 国会,条件付きで石油燃料価格の値上げを認める補正予算案を可決。 |
4月 | |
9日 | アチェ州知事選でアチェ党が擁立した元独立派幹部のザイニ・アブドゥラーが現職のイルワンディ・ユスフを破って当選。 |
12日 | 国会,すべての移住労働者およびその家族の権利の保護に関する国際条約を批准。 |
12日 | 国会で総選挙法が可決成立。 |
17日 | 警察,シティ・ファディラ前保健相を医療機器調達汚職事件の容疑者に指定。 |
18日 | スドモ元治安秩序回復司令部司令官,死去。 |
20日 | ジャカルタ汚職裁,東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職事件の被告ナザルディンに対して禁錮4年10カ月の実刑判決。 |
25日 | 首都で大規模停電が発生。 |
26日 | エンダン・ラハユ・スディニンシ保健相,健康問題を理由に辞任。 |
27日 | 汚職撲滅委員会,民主主義者党議員アンジェリナ・ソンダクを東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職事件の容疑者として逮捕。 |
5月 | |
1日 | 商業相,1業者が輸入できる製品は1分野内に限定する輸入ライセンス制を発表。ただし9月21日付商業相令で1分野以上の輸入が可能になるよう条件が変更される。 |
1日 | インドネシア労働者協議会(MPBI)が設立される。 |
6日 | 2月6日付エネルギー・鉱物資源相令に基づく未加工鉱石の輸出制限が始まる。 |
9日 | ジャカルタ汚職裁,中銀上級副総裁選出汚職事件の被告ヌヌン・ヌルバエティに対して禁錮2年半の実刑判決。 |
15日 | マルク州ポソで住民間の紛争から暴動が発生,51人がけが。 |
15日 | 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金永南最高人民会議常任委員会委員長,来訪。 |
19日 | 大統領,ティモール・レステを訪問(~20日)。独立10周年記念式典に出席。 |
22日 | カヴァコ・シルヴァ・ポルトガル大統領,来訪。同国元首の来訪は初。 |
23日 | ゴロンタロ高検,ファデル・ムハマッド前州知事を汚職事件の容疑者に指定。 |
27日 | 米国歌手レディー・ガガのジャカルタ公演が中止に。イスラーム主義団体などが「反倫理的」として中止を求めていた。 |
27日 | ランプン州メスジで農園企業との土地紛争から住民による暴動が発生。 |
29日 | 大統領,5項目からなる補助金付石油燃料の消費削減策を発表。 |
6月 | |
1日 | 汚職撲滅委員会,ミランダ・グルトムを中銀上級副総裁選出汚職事件の容疑者として逮捕。 |
4日 | 憲法裁,2009年鉱物・石炭鉱業法52条を違憲とする判決。 |
10日 | サリム・グループの創業者リム・シュウリォン,死去。ジャカルタ暴動後の滞在先シンガポールで埋葬される。 |
13日 | 汚職撲滅委員会,東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職事件の被告ナザルディンの妻で逃亡していたネネン・スリ・ワヒュニ容疑者をジャカルタで逮捕。 |
13日 | 大統領,空席となっていた保健相,投資調整庁長官などを新たに任命。 |
15日 | 大統領,メキシコ,ブラジル,エクアドル歴訪に出発(~26日)。メキシコでG20に,ブラジルで国連持続可能な開発会議に出席。20日,メキシコで野田首相と初会談。 |
19日 | 国会第11委員会,金融サービス監督庁(OJK)理事を選出,ムリアマン・ハダド中銀副総裁を長官に選出。 |
7月 | |
1日 | ゴルカル党全国幹部会議の指名を受けて党首のアブリザル・バクリが2014年大統領選への立候補を宣言。 |
5日 | ジャカルタ高裁,大蔵省租税総局職員ガユス・タンブナンに対して禁錮8年の実刑判決。 |
11日 | ジャカルタ特別州知事選が行われ,1位のジョコ・ウィドドと2位の現職ファウジ・ボウォによる決選投票へ。 |
12日 | 政府,韓国との間で自由貿易協定についての協議を開始。 |
16日 | 大統領,プノンペンでのASEAN外相会議で史上初めて共同声明が発表されなかったことに対して,マルティ外相に各国との調整を行うよう指示。20日,ホー・ナムホン・カンボジア外相がASEAN統一見解を発表。 |
18日 | 中銀,商業銀行の40%所有制限政策を出す。 |
27日 | 最高裁,センチュリー銀行偽造L/C発行疑惑事件の被告ムハマド・ミスバクフン元福祉正義党議員に逆転無罪の判決。 |
31日 | 憲法裁,鉱山会社ニューモント・ヌサトゥンガラ社の株式を大蔵省が国会の承認なく取得したことに対して違憲判決。 |
8月 | |
7日 | 大統領,土地収用法の実施に関する大統領令2012年第71号に署名。 |
10日 | 中銀,銀行間金利の下限であるFasBI金利を3.75%から4%に引き上げ。 |
10日 | 楊潔篪中国外相,来訪。マルティ外相と会談し,南シナ海問題の外交的解決に合意。 |
13日 | 大蔵相,大豆の輸入関税を一時的に撤廃(年末まで)。 |
16日 | 大統領,独立記念日演説を行う。また,2013年度予算案を国会に提出。 |
17日 | 汚職撲滅委員会,スマラン汚職裁とポンティアナック汚職裁の特別判事2人を収賄容疑で逮捕。 |
26日 | 東ジャワ州マドゥラ島のサンパンでスンニ派住民がシーア派住民宅に放火。シーア派住民2人が死亡,数百人が避難。 |
28日 | 国会でジョグジャカルタ特別州法案が可決成立。 |
29日 | 憲法裁,総選挙法の一部条項に違憲判決。 |
31日 | 警察テロ対策チーム,中ジャワ州ソロ市でテロ容疑者2人を射殺。9月22〜23日にもソロ市内で9人の容疑者を逮捕。 |
31日 | エネルギー・鉱物資源省,産業向けガス価格の50%引き上げの承認を発表。 |
9月 | |
1日 | 農園,鉱業部門での補助金付石油燃料使用が禁止される。 |
4日 | クリントン米国務長官,来訪。南シナ海問題に対する政府の努力を評価。 |
5日 | 大統領,モンゴル,ロシアを歴訪(~10日)。ロシアではAPEC首脳会議に出席。 |
7日 | 2014年総選挙参加政党の登録申請が締め切られる。46政党が申請書類を提出するも,12政党は書類不備で申請不許可に。 |
7日 | 汚職撲滅委員会,ゴルカル党国会議員ズルカルナエン・ジャバルを宗教省コーラン調達汚職事件の容疑者として逮捕。 |
12日 | 汚職撲滅委員会,民主主義者党幹部で企業家のハルタティ・ムルダヤを中スラウェシ州ブオル県知事に対する贈賄事件の容疑で逮捕。 |
12日 | 最高裁,エネルギー・鉱物資源相令2012年7号について,鉱石輸出を制限した条項などを無効とする判決。 |
14日 | 国家警察,汚職撲滅委員会に出向中の捜査官20人を任期延期要請にもかかわらず引き上げると発表。 |
17日 | 国会,2013年末までに電気料金を15%引き上げることに同意。 |
19日 | ダイハツ工業,低価格エコカー用の新型車を発表。 |
20日 | ジャカルタ特別州知事選決選投票が行われ,ジョコ・ウィドドが当選。 |
22日 | 大統領,国連総会出席のためアメリカを訪問(~31日)。 |
27日 | ジャカルタ汚職裁,中銀上級副総裁選出汚職事件の被告ミランダ・グルトムに対して禁錮3年の実刑判決。 |
28日 | ランプン州東ランプン県で住民間の衝突が発生,住宅28軒が焼失などの被害。 |
10月 | |
5日 | 警察,運転シミュレーター調達汚職事件の捜査チーム代表で警察出身の汚職撲滅委員会捜査官ノベル・バスウェダンを8年前の違法捜査の容疑者に指定。 |
8日 | 運転シミュレーター調達汚職事件を発端とする汚職撲滅委員会と警察の対立に対して大統領が声明を発表,事件の捜査を汚職撲滅委員会が担当するよう指示。 |
8日 | 第4回日本インドネシア経済合同フォーラム,東京で開催。翌9日,首都圏投資促進特別地域(MPA)の第3回運営委員会が開催され,45件・総額3.4兆ルピアのMPAマスタープランを承認。 |
12日 | バリ島爆弾テロ事件10周年の記念式典が開催され,ギラード豪首相,ハワード元豪首相らと被害者家族が出席。 |
18日 | ジャカルタ汚職裁,国民信託党議員ワ・オデ・ヌルハヤティ被告に対して予算委員会での収賄罪で禁錮6年の実刑判決。 |
18日 | 国会で食料法案が可決成立。 |
22日 | 課税最低限の引き上げに関する大蔵相令が出される。 |
23日 | 国会,2013年予算法案を可決。 |
24日 | 国会,新たな国家人権委員会委員13人を選出。 |
27日 | 国会で北カリマンタン州設置法が可決成立。34番目の州が誕生。 |
28日 | ランプン州南ランプン県で原住民と移住民の間で衝突が発生。14人が死亡。 |
29日 | 小売業のフランチャイズ規制に関する商業相令が出される。 |
30日 | 大統領,イギリスとラオスを訪問(~11月6日)。ラオスでは第9回アジア欧州会合に出席。 |
11月 | |
3日 | 中スラウェシ州ポソで警察テロ対策チームと住民の間で衝突が発生。 |
5日 | 国営企業担当国務相,国営企業に対して賄賂を要求した国会議員の名前を国会名誉評議会の場で証言。 |
7日 | 政府,スカルノとモハマッド・ハッタの初代正副大統領に国家英雄の称号を授与。 |
8日 | ジャカルタ汚職裁,収賄などの罪に問われた大蔵省租税総局職員ダナ・ウィドヤトミカに対して禁錮7年の実刑判決。 |
9日 | マレーシア警察によるインドネシア人出稼ぎ労働者暴行事件が発生。 |
12日 | アチェ・ニアス多国間援助基金(MDF)とジャワ復興基金(JRF)の解散記念会議,ジャカルタで開催。 |
13日 | 憲法裁,石油ガス法の上流部門執行機関(BP Migas)に関する条項を違憲と判断。同機関は同日をもって解散。 |
14日 | 労働力・移住相,請負・派遣業務に関する大臣令に署名。 |
17日 | 大統領,カンボジア,パキスタン歴訪に出発(~23日)。カンボジアではASEAN首脳会議に,パキスタンでは発展途上8カ国首脳会議に出席。 |
22日 | 汚職撲滅委員会,ゴルカル党国会議員ハリス・アンディ・スラフマンを予算委員会での汚職事件の容疑者に指定。 |
23日 | 中銀,年次総会の場で最低自己資本比率規制案などを発表。 |
26日 | ジャカルタ総合指数が終値としては最高値となる4375.17を記録。 |
26日 | 中銀,2006年中銀令に代わる新たな単一持株政策(SPP)を決定。 |
27日 | パプア州ラニー・ジャヤ県で警察署が襲撃され,警官3人が死亡。 |
12月 | |
3日 | 汚職撲滅委員会,警察庁交通局運転シミュレーター調達汚職疑惑事件でジョコ・スシロ警察監察総監を逮捕。 |
5日 | 大蔵相,セーフガードとして小麦粉に暫定的輸入税を課すことを決定。 |
6日 | 汚職撲滅委員会,アンディ・マラランゲン青年・スポーツ担当国務相をハンバラン総合体育施設建設汚職事件の容疑者に指定。翌日,同相は辞任。 |
11日 | アフマド・ヤマニ最高裁判事,麻薬事件被告に対する減刑判決が不適当だったとして最高裁名誉評議会により懲戒免職処分に。 |
14日 | 商業相,国内加工を促すためスズ輸出に関する新規則を決定。 |
17日 | 大統領,海軍参謀長にマルセティヨを,空軍参謀長にイダ・バグス・プトゥ・ドゥニアを任命。 |
20日 | 国営セメント会社の再編が完了。持株会社としてセメン・インドネシア社が発足。 |
20日 | マルク州ポソで警察とテロ容疑者の間で銃撃戦があり,警官4人が死亡。 |