2025 Volume 2025 Pages 521-544

2024年のスリランカでは汚職のない清廉な政治を掲げた小規模な左翼政党を中心とする政党連合が2つの国政選挙で伝統的な2大政党を破り,政権交代を果たした。9月の大統領選挙では,政党連合人民の力(NPP)のリーダーで人民解放戦線(JVP)の党首アヌラ・クマーラ・ディサナヤケ(AKD)が当選した。11月の国会議員総選挙でもNPPは,全議席数(225議席)の3分の2を上回る159議席を獲得するに至った。NPPは従来の汚職にまみれた政治からの脱却を訴えており,2022年に発生した反政府運動「アラガラヤ」の目標のひとつである「システム・チェンジ」の実現に向け一歩前進した。
経済はインフレ率や失業率,国際収支などマクロ経済指標が改善され,2022年の危機的状況から脱したように見える。国際通貨基金(IMF)による拡大信用供与措置(EFF)プログラムを継続するための第2回および第3回審査が行われ,それぞれ3億3700万ドル,3億3400万ドルの支援を得ることができた。
対外関係では前年と同様,インドと中国の間で揺れた。中国がスリランカによる科学調査船の入港拒否に強い不満を表明する一方で,インドは大統領選挙前にAKDを公式招待するという異例のアプローチでスリランカとの関係を強化した。
2024年の大統領選挙は,スリランカの政治地図を大きく塗り替える歴史的なものとなった。その背景を理解するため,まず2022年からの政治状況を概観する(詳細は『アジア動向年報2024』参照)。
2021年末頃から発生した経済危機は政治問題化し,翌年4月からは「アラガラヤ」と呼ばれる大規模な反政府運動が行われるようになった。人々は当時の与党スリランカ大衆党(SLPP)政権を率いるラージャパクサ一族の失政と,歴代政権の汚職や不正に経済危機の原因を求め,既存の政治体制への批判を展開した。同運動が要求したのは,政治の全面的な変革である「システム・チェンジ」と大統領の辞任であった。結果的にマヒンダ首相とゴタバヤ大統領のラージャパクサ兄弟は辞任した。
2022年7月には国会で統一国民党(UNP)党首のラニル・ウィクレマシンハが新大統領に選出されたが,これでシステム・チェンジが達成されたわけではない。UNPは国会に1議席しか有しておらず,ラニルの大統領就任は与党SLPPの支持に支えられていたのである。つまりゴタバヤとマヒンダは権力の座からは去ったものの,スリランカ政治に対する彼らの影響力が排除されたわけではなかった。したがってシステム・チェンジという課題は残されたままとなった。
ラニルは経済危機からの脱却と復興を担った。2023年3月にIMFから4年間で約30億ドルの拡大信用供与措置(EFF)を得たのち,付加価値税(VAT)・物品税率および電気料金の引き上げ,国有企業の経営効率化など国民の痛みを伴う政策を断行した。2022年7月のラニル大統領就任時には,輸入の1.1カ月分しかなかった外貨準備高も2024年7月には同3.8カ月分まで回復し,為替も安定し始めた。このような制度改革を行った結果,財政は安定しマクロ経済指標も改善した。
2024年に入り,大統領選挙の実施をめぐって政党間の駆け引きが本格化した。任期途中で大統領職を辞した場合,後任大統領の任期は前任者のそれを引き継ぐ。憲法は現職大統領の任期終了の2カ月前から1カ月前までに大統領選挙を実施すると規定している。ゴタバヤの本来の任期は2024年11月18日までであり,したがって9月17日から10月16日までに選挙を実施しなければならなかった。
一方国会は前回選挙が実施された2020年8月から2年半を経過すれば,大統領による解散が可能だった。各政党にとって重要なのは選挙の順序である。大統領選挙を先行実施した場合,有権者は大統領の所属政党と国会多数派が異なる「ねじれ」を嫌い,国会議員総選挙(以下総選挙)では大統領と同じ政党を選ぶ傾向にある。ラニルは経済運営の成果によって大統領選挙で再任され,総選挙でも勝利できると確信し,大統領選挙を先行実施することを主張した。一方でSLPPは,自党内に有力な大統領候補者が不在で勝算が低いため,総選挙を先行すべきと訴えた。とはいえSLPP内にはラニル支持を表明する派閥も生まれ,党内の意見は分裂していた。
選挙管理委員会(EC)は5月に憲法の規定どおりに大統領選挙を行うと発表し,7月末に9月21日の投票日を告示すると,選挙戦が本格化した。ECの発表直後,ラニルは大統領選挙を先行して行うと宣言し,自らはUNPでもSLPPでもなく独立候補として出馬を表明した。選挙シンボルには,2022年の燃料危機を克服した経済運営の成功を象徴するガスボンベを選んだ。一方のSLPPは,ラニルとの協力関係を解消し自党からマヒンダ・ラージャパクサの長男で38歳と若いナーマルを推挙した。立候補登録終了の10日前というギリギリのタイミングであった。若さゆえに党内から異論はあったものの,将来の党幹部育成の観点から起用が決定された。しかし指導部によるナーマルの起用によって分裂気味だったSLPP党内の結束はさらに弱まり,多くの議員がラニル支持へと転じた。党首のマヒンダは内戦終結の最大の功労者として党員らの強い忠誠心を集めていたが,若いナーマルにはそのような求心力はない。2020年にUNPと袂を分かち設立された統一人民の力(SJB)からは,党首のサジット・プレマダーサが出馬を表明していた。しかしSJBからもラニル支持の表明が相次いだ。このようにラニル優勢とみられるなか,NPPは早い時期からAKDを擁立し,他党からの支持や合流を拒み独自路線を堅持した。
ラニルは現職大統領という立場を生かした選挙戦を展開し,支持を集めようとした。8月には閣議決定により公務員給与を引き上げた。また,新型コロナウイルス禍で政府がイスラム教徒の遺体の火葬を強制したことを謝罪し,2019年のイースター・テロ事件の再調査を約束した。議員や政治家の間でラニル支持は広がり,三つ巴の戦いとなるかのように見えた。しかし,後述するように警察長官(IGP)任命をめぐる憲法軽視の姿勢などが影響し,有権者の間でラニル支持は伸び悩んだ。経済再建の実績も本人が考えていたほどには効果がなかった。
今回の大統領選挙には前回の35人を上回る過去最多の39人が立候補したが,世論調査によるとSJBのサジットとNPPのAKDによる事実上の一騎打ちが予想された。
投票は以下のように行われる。立候補者が4人以上の場合,有権者は最も支持する候補に「1」またはチェックマークを記すか,あるいは3番目までの優先順位を「2」「3」という形で記入する。ただしチェックマークが複数あると無効となる。開票ではまず「1」あるいはチェックマークを候補者ごとに集計し,過半数を得た候補者がいれば当選が確定する。当選者がいない場合は2回目の集計が行われ,3位以下の候補者に投じられた票に記された上位2人への「2」「3」の選好票が1回目の集計に合算される。
これまで1982年以降に実施された8回の大統領選挙では,いずれも第1回の集計で当選者が確定していたが,今回は初めて選好票の集計が必要となった。第1回の集計で,AKDが563万票(得票率42.31%)を獲得し首位に立ち,次点のサジットは436万票(同32.76%)を得た。いずれの候補も過半数に達しなかったため第2回の集計が実施され,AKDが574万票(再集計後の上位2位の合計得票数の55.89%)を得て大統領に選出された。AKDは前回の大統領選挙で41万票(3.16%)の獲得にとどまっていたが今回は大きく伸長した。一方SLPPから立候補したナーマルは,34万票(2.57%)の得票と低迷した(表1)。

(注) SLPP:スリランカ大衆党,NPP:人民の力,SJB:統一人民の力,NDF:国民民主戦線。主要政党に限って掲載しているため得票率の合計は100%にならない。
(出所) Sri Lanka Election Commission (https://www.elections.gov.lk/)より筆者作成。
AKDの勝因は国民による2大政党への失望と彼への期待感だと考えられる。AKDは選挙戦で,これまでの2大政党による政治が不正と汚職にまみれ,国を混乱状態に陥れたと批判し,清廉で無駄のない国づくりを行うと宣言した。選挙戦終盤には,AKDが党首を務めるJVPによる1980年代後半の暴力的な過去(後述)を想起させるような発言や経験不足を指摘する声が対立候補からあった。しかし不正や汚職に嫌気がさし,前政権の失策によって深刻な経済危機を経験した国民の政治不信は強く,汚職や不正からはほど遠いAKDに対する期待感が高まった。これにより伝統的な2大政党支配が崩れ,2022年のアラガラヤが求めたシステム・チェンジが2年越しで実現したといえる。
NPPのアヌラ・クマーラ・ディサナヤケ(AKD)とは?NPPはJVPと20の団体・グループによって2019年7月に結成された政党連合で,労働組合,女性団体,学生,芸術家,弁護士,医師など多様な属性の人々から構成されている。NPP結成のきっかけは,2015年の国会総選挙と2018年の地方自治体選挙の不振にある。JVP指導部は,広範な政党連合を形成することで選挙に勝利し,スリランカが直面する喫緊の課題に対応できると考えた。NPPは既存の政治システムに代わる新たな政治勢力として注目を集めているが,その政治的基盤と組織力の多くは中核であるJVPに依拠している。
JVPは1965年に結成された左翼政党である。当初は,コロンボの英語エリート層支配に反発する,シンハラ語で教育を受けた農村部の若者や知識人などが主要な構成員であった。JVPは1971年に反政府暴動を起こすも早期に鎮圧され,その後非合法化された。1971年から77年までの地下活動期間中,JVPはシンハラ至上主義的な主張を増すと同時にインド拡張主義への反対姿勢を強めた。
JVPは1983年に再度非合法化され,1987年から再び大規模な反政府運動を展開し,警察・軍・治安部隊との激しい衝突により,数万人の死亡・行方不明者を出す事態となった。この運動は1989年に鎮圧された。その後JVPは武装闘争路線を放棄し,合法化された1993年以降は議会政治への参画を開始した。2004年には伝統的な2大政党のひとつスリランカ自由党(SLFP)と連立し,かつ国会議員総選挙では39議席を獲得した。ただ近年の国会議席数は1桁にとどまっていた。
AKDは1968年生まれの56歳で,中央州マータレー県の農村に生まれ,1987年にJVPの学生組織に参加した。2004年には国会議員に初当選し,2014年からJVP党首を務めている。さらに2019年のNPP結成以降は,同政党連合の指導的立場も担っている。
NPPが総選挙で3分の2の議席を獲得AKDは2024年9月の大統領就任後,政権運営を迅速に開始した。まず自らと2人のNPP国会議員による3人体制の暫定内閣を組閣し,さらに国会解散を宣言するとともに11月の総選挙実施を表明するに至った。
この素早い展開に対抗政党は形勢を立て直す間もなく,大統領選挙の敗因分析や対応策の検討も追いつかない状況となった。結果的にUNPのラニルやSLPPのマヒンダなど2大政党の重鎮らは敗北を見越したかのように立候補を見送り,一部の古参議員は政界引退を表明した。
結果は当初の予想を大きく上回り,NPPが得票率61.56%で総議席数225のうち159議席を獲得して圧勝を収めた(表2)。また今回NPPは初めて国内全22選挙区で議席を獲得した政党(政党連合)となった。シンハラ至上主義を掲げるJVPを母体とした政党連合が,タミル人地域でも議席を獲得したことは多民族国家スリランカでは画期的といえる。さらにNPPが憲法改正に必要な3分の2の議席を単独で得たことも,歴史的成果である。選挙戦では,大統領選と同じく対抗政党からNPPの政権運営能力への疑問や,JVPの過去の暴力行為を問題視する声があがったものの,有権者の投票行動に影響を与えることはなかった。なお,NPPの勝利が確実視されていたため,2大政党の固定支持層の多くは投票を棄権した。そのため,投票率は2020年国会議員選挙の75.89%から68.93%に低下した。

(注) SLPP:スリランカ大衆党,SJB:統一人民の力,TNA:タミル国民連合,NPP:人民の力,UNP:統一国民党,ITAK:連邦党,NDF:国民民主戦線.主要政党に限って掲載しているため得票率の合計は100%にならない。
(出所) Sri Lanka Election Commission (https://www.elections.gov.lk/) より筆者作成。
NPPの躍進には以下の4つの要因が挙げられる。第1に,有権者とNPPのハネムーン期間に選挙が実施されたことである。大統領選挙の勢いそのままで総選挙を迎えることができた。第2は,政治的不安定をもたらしかねない大統領と国会のねじれを有権者が嫌ったことである。第3に,NPPの長期的な組織構築が奏功したことである。2023年3月に予定されていた地方議会選挙は中止となったものの,NPPはこの選挙に向けて全国規模の選挙組織を着実に整備していた。当時は「アラガラヤ」の余韻もあり,選挙が実施されていれば相当数の得票があったとされ,当時の政権はそれを警戒し選挙を中止したといわれている。第4に,タミル人政党の分裂に起因する,北部・東部の選挙区での躍進が挙げられる(後述)。従来,シンハラ人中心の政党であるJVPは,タミル人が多住する北・東部での支持獲得に苦心していた。しかし今回は北部に事務所を置き,幹部を常駐させるなど,積極的な支持基盤拡大を図った。その結果,ジャフナ県で過半数の議席を獲得するという成果をあげた。
今回の選挙では女性議員の増加も顕著であり,前々回選挙の13人,前回の12人から22人に増加し,そのうち20人がNPPから選出された。なかでも注目は首相に就任したハリニ・アマラスーリヤである。スリランカで3人目の女性首相となった彼女は一般家庭の出身で,国際NGOでの実務経験があり,スリランカ・オープン・ユニバーシティの教授を務めていた経歴の持ち主である。
しかし,新政権は発足早々,国会議長の学歴詐称問題が発覚し交代を強いられるなど,問題に直面している。NPP議員159人中146人が新人であり,選挙期間中に他政党から指摘されたように,国民の間にも政権運営上の経験不足に対する懸念はある。それでも汚職・不正や政治的失態がもたらした深刻な経済危機を経験したスリランカ国民は,NPPへの期待を維持しており,政権運営での多少の混乱や未熟さに対して現段階では寛容な姿勢を示している。
タミル政党でも地殻変動タミル政党の機能不全と分裂は,NPPの躍進を促す重要な要因となった。スリランカでは1983年から2009年まで続いた内戦の終結以降,タミル国民同盟(TNA)をはじめとするタミル政党には,政府と協力して北・東部州評議会への権限移譲や復興,人権問題の解決に貢献することが期待されていた。しかし,政党間の路線対立や党内の個人的確執により,期待されたほどの進展はない状況が続いていた。
地殻変動は,最大タミル政党である連邦党(ITAK)の指導者交代から始まった。2024年1月の党員選挙でS・シュリタランがリーダーの座を獲得し,R・サンバンダン前指導部の穏健路線から民族主義への回帰を掲げたことで,タミル人社会に分断が生じた。
タミル政党はこれまでと同様,大統領選挙では地方への権限移譲に比較的積極的な姿勢を示してきたUNPやSJB候補を支持した。シンハラ人の利益を優先してきたJVPを中核とするNPPへの支持は限定的で,北部・東部地域(ジャフナ県,ヴァヴニヤ県,アンパラ県,バティカロア県,トリンコマリー県)はサジットの得票数がAKDを上回った数少ない選挙区である。特にジャフナ県でのAKDの得票数は2万7086票にとどまった。
しかし総選挙では状況が一変した。タミル政党の分裂により候補者が乱立するなか,NPPは北部・東部地域で積極的な選挙活動を展開した。その結果,ジャフナ県でのNPPの得票は8万830票へと大統領選挙より約3倍に増加した。バティカロア県でも同2.5倍,ヴァヴニヤ県でも同1.9倍となった。議席数で見ると,タミル政党・グループは2020年の16議席から10議席に減らしている。これは,内戦後15年を経てもなお有効な政策を打ち出せないタミル政党に失望したタミル人有権者が,新たな選択肢としてNPPに期待を寄せた結果といえる。
最高裁判所,警察長官の職務停止を命令大統領選挙でラニルの足を引っ張ったのは警察長官(IGP)任命問題である。経済再建に一定の成果を上げ,ラニルは自信をもって大統領選挙に臨んだものの,高位公職者の人選をめぐる最高裁判所との対立に加え,憲法軽視ともとれる姿勢が国民の不信感を招いた。
2023年6月に当時のIGPの任期が満了した際,ラニルは後任の適任者を見出せず,前任者を暫定的に留任させた。しかし正式なIGP不在の長期化に批判が高まり,5カ月後の2023年11月29日,上級副長官(SDIG)のデーシャバンドゥ・テンネコーンを3カ月の任期でIGP代理に任命した(『アジア動向年報2024』参照)。テンネコーンは犯罪捜査や治安維持において実績のある有能な警察官として知られる一方で,民主化運動「アラガラヤ」活動家への攻撃やジャーナリストへの脅迫疑惑など,人権侵害の疑惑があった。また,ラージャパクサ一族との関係の深さも指摘されていた。2023年12月14日,最高裁判所(以下,最高裁)は2011年に発生した警察署内での拷問事件に関する基本権請願訴訟でテンネコーンに有罪判決を下した。現職のIGP代理に対する有罪判決は異例のことであった。しかし大統領がIGPを任命する際の承認権限を有する憲法評議会(CC)が,テンネコーンの就任を問題なしと判断し,更迭を逃れた。さらに2024年2月26日,大統領はテンネコーンを正式なIGPに任命した。
CCはラニルによるテンネコーンのIGP指名を承認したが,市民団体,法曹関係者,宗教界,政界など幅広い層から強い反発が起こり,最高裁に9件の基本権請願が提出された。これを受けて最高裁は7月24日,テンネコーンの職務を停止し大統領に後任のIGPを指名するよう命じた。しかし,選挙管理委員会が7月26日に大統領選挙の実施を宣言したことで,立候補者であるラニルの政治活動が限定され,結果としてIGP不在のまま大統領選挙が行われた。なお,ラニル大統領とディネーシュ・グナワルダナ首相は,行政府の長である大統領が指名しCCが承認したIGPに対する最高裁の職務停止命令を違法と主張し,これに従うことを拒否した。弁護士協会(BASL)は,大統領による指名やCCの承認があったとしても,その人事が不適切である場合は最高裁への申し立てが可能であるとの見解を示し,最高裁の決定を支持した。
大統領選挙後の9月27日,AKD大統領はSDIGのプリヤンタ・ウィーラスーリヤをIGP代理に指名し,CCも10月8日にこれを承認したことで,IGP不在の状態はひとまず解消された。
二重国籍者の議員資格に関する最高裁判決スリランカでは2015年以降,大統領や国会議員の国籍要件をめぐって憲法改正が繰り返されてきた。現憲法では,二重国籍保持者の大統領および国会議員資格は認められていない。しかし,立候補の段階でスリランカや当該国の出入国管理局等に照会しても立候補登録期間内に二重国籍の有無の確認ができないこともあるため,二重国籍保持者の立候補を完全に防ぐことができない状態が続いていた。選挙で当選後に二重国籍が明らかになった場合についてもその地位の正当性は曖昧なままであった。2020年8月の総選挙で選出された第16次国会には10人以上の二重国籍者がいたとの指摘もある。
2024年5月8日,この問題に関する重要な司法判断が示された。最高裁は,ダヤナー・ガマゲー観光担当国務大臣について,スリランカ国籍を有していないとして国会議員資格を無効とする判断を下した。この結果,ダヤナーは議員資格を喪失し大臣職務遂行の権利も失うこととなった。
この判決は,これまで曖昧だった大統領や国会議員の国籍要件に関して明確な司法判断となった。判決は非スリランカ国籍者に関するものであったが,今後は二重国籍保持者に対する議員資格審査がより厳格に実施されることが予想される。
2024年のスリランカ経済は,着実な回復を示した。中央銀行(中銀)の予測によれば実質国内総生産(GDP)成長率は7年ぶりの高水準となる5%が見込まれる。これはIMFが6月時点で予測した2%を大きく上回る。
主な経済指標は以下のとおりである。失業率は5.2%から4.7%に改善した。部門別成長率は,工業とサービス業がそれぞれ11.2%増,2.6%増と堅調に推移した一方,農業部門は5月から6月と11月の大雨・洪水被害の影響で,対前年比1.9%の成長にとどまった。対外部門では,輸出が対前年比7%増と好調で,主要輸出品目の衣類(3.9%増),紅茶(8.8%増)が牽引した。ただし,輸入も10%増加したため貿易赤字は拡大した。その赤字は観光収入(53.2%増)と海外送金(10.1%増)で補填された。外貨準備高は2023年12月の43億9200万ドル(輸入3.1カ月分)から2024年11月には64億5100万ドル(輸入4.2カ月分)に順調に増加した。物価面では,2022年の経済危機時に70%に達したインフレ率は,2024年を通じて中銀の目標である5~6%を下回って推移した。これを受けて中銀は政策金利を2023年3月の16%から2024年末の8%まで段階的に引き下げた。
しかし,コメ,タマネギ,トウガラシ,ココナツなど生活必需品の農産物の価格が一時的に通常の数倍に高騰する事態が発生し,国民の間で経済回復の実感は乏しい状況が続いている。農産物価格の高騰には複合的な要因がある。まず2021年にゴタバヤ大統領が化学肥料の使用を全面禁止したため生産量は減少した。半年後に使用禁止は解除されたものの肥料価格高騰が続き,肥料の使用量が大幅に減少したため生産量は回復しなかった。さらに,害虫の発生や天候不順が重なり,農産物全般に深刻な影響が及んだ。
特に影響が顕著だったのが,スリランカの食生活に欠かせないココナツである。2024年3月時点で1個あたりの価格は通常の60~80ルピーから120~150ルピーに上昇した。9月にはセイロンココナツ産業会議所(CCCI)が前例のないココナツ不足を警告し,年末には価格が200ルピーを超えた。その結果,一部の食堂ではサンボルやキリホディといった極めて日常的な料理の提供が困難になった。スリランカは世界第5位のココナツ生産国であり第4位の輸出国でもある。2024年は国際市場でのココナツ加工品価格の上昇により,輸出額は前年の約2倍に達する見込みとなった。しかし,この輸出増加が国内供給を圧迫し,価格高騰に拍車をかける結果となった。
この状況に対応するため,政府は9月以降,国内需要と加工品輸出の両立を図るべく,ココナツの輸入検討を余儀なくされた。農業・畜産・土地・灌漑省が疫病の流入に危惧を示したものの,2025年2月に閣議にて関係省庁に対し即時の輸入を命じた。実際に輸入ココナツが入手できるようになるまで最低でも1カ月はかかる。したがってCCCIは,輸入ココナツが到着する頃には国内供給が回復し,むしろ過剰に陥る可能性を懸念している。
経済変革法など経済関連法案IMFのEFF継続はスリランカの経済復興における生命線であり,その支援継続のための必須条件として経済関連法の制定が求められていた。これを受けてラニル政権は2024年5月末,公共財政管理法案,公的債務管理法案,経済変革法案の3法案を国会に提出した。
各法案の目的と概要は以下のようになっている。公共財政管理法案は既存の財政管理責任法に代わり,基礎的財政支出の上限をGDPの13%以下に抑制し,GDPの2%相当の予備費確保を義務付けることで財政規律の強化を図るものである。公的債務管理法案は,債務管理の一元化と透明性確保のため,公的債務管理局の設立を規定し,債務管理の専門性向上と説明責任の強化を目指すものである。経済変革法案は,政権交代があってもIMFプログラムの継続を確保することが目的とされている。注目すべきは,この法案がIMFからの要求に基づくものではなく,経済成長率や失業率,女性の労働参加率などについて,具体的な達成年度や数値を国家経済目標として独自に設定している点である。さらに,2022年の経済危機を引き起こした不適切な経済運営,持続不可能な債務慣行,十分な費用便益分析を欠いた開発プロジェクトの実施といった諸問題への対策も盛り込まれている。これら3法案は6月から7月末にかけて国会で可決された。
国営企業改革もIMFからの融資を継続するための必須条件である。電力セクター改革の柱となる電力法案は4月に国会に提出され6月27日に国会で可決された。この法律は,巨額の赤字を抱える国営のセイロン電気公社(CEB)の独占体制を見直し,電力部門への民間事業者の参入を認めることで,公共財政の負担軽減と再生可能エネルギーの導入促進を目指すものであった。
しかし,NPP新政権は公企業改革の方向性を大きく転換し,電力法を撤回してCEBの内部改革を推進する方針を示した。NPPには労働組合組織も含まれておりその反発があったとされる。こうした政策転換は,民間部門や国内外の投資家らの間に不安を広げている。
国内でEFFの条件を満たすための法整備を進めながら,スリランカ政府は対外債務再編に向けて外部機関・債権者との交渉を進めてきた。スリランカの対外債務は,2024年3月時点で370億ドルに達しており,その内訳は主に二国間債務105億ドル,国際機関からの債務117億ドル,国際ソブリン債(ISB)125億ドルとなっている。二国間債務については,2023年4月にフランス,日本,インドが共同議長国として公的債権国会合(OCC)を立ち上げた。当初,インドやハンガリーなど非パリクラブ・メンバーが参加したことで調整に時間を要したものの,2023年11月にスリランカ政府と基本合意し,2024年6月26日に58億ドルの債務再編で最終合意を締結した。同日,最大債権国で非OCCメンバーの中国(中国輸出入銀行)も,42億ドルの債務についてOCCの合意内容と整合的な条件で最終合意に至った。
合意内容は,二国間借款返済開始の2028年までの延期と返済期限の2043年までの延長,借款返済への低利子率の適用のほか,対外債務の年間返済額を2027年から2032年までGDP比4.5%未満(経済危機が最も深刻だった2022年は9.2%)に抑制することなどである。スリランカが求めていた元本返済額の削減は実現しなかった。しかし,以上の措置により総負担額が約170億ドル削減される見込みとなり,資金を公共サービスやインフラ開発に振り向けることが可能になる。2024年7月には民間債権者とISBについても債務再編で合意に達し,10月にIMFがその内容の公平性を確認したうえで,12月にはISBの債権者が再編に最終同意した。
債務再編の進展により債権国からの資金保証が確保されたことを受け,IMFは2024年6月の第2回金融支援プログラム審査を経て3億3700万ドルを支払い,支援累計額は10億ドルとなった。同年11月23日の第3回事務レベル審査では,3億3400万ドルの追加支援が新たに承認された(理事会審査は2025年3月実施)。IMFはスリランカ経済の回復の兆しを認めつつも,新政権の政策転換による影響を含め,経済の脆弱性について警戒を示している。
2024年,スリランカ・インド関係はかつてない緊密化を見せた。理由は大きく2つある。ひとつは,インドにとって重要な周辺国であるモルディブやバングラデシュで親インド政権がそれぞれ選挙の敗北や反政府運動で崩壊したことである。南アジア地域における影響力を保持したいインドにとって,スリランカとの良好な関係維持がより重要となった。それにはもうひとつの理由も関係している。スリランカが中国の科学調査船の受け入れ問題で圧力に直面していたことである。
この状況下で,インドは早い段階からスリランカへの積極的な外交を展開した。まず特筆すべきは,2024年2月という大統領選挙の実施時期が未定の段階で,インドがAKDらNPP代表団を公式招待したことである。民間調査会社の結果でこそAKDが有力視されていたものの,スリランカ国内でその勝利を信じる者は少数派であった。インドはスリランカの政治情勢を子細に分析しており,NPP躍進の可能性を見出し,いち早く良好な関係をもつことを選択した。インドを訪問したNPP一行は,モディ首相と会うことはなかったが,グジャラート州首相やジャイシャンカル外相などと会談した。この招待にはもうひとつ重要な意味があった。それは,インドが過去の対立にこだわらず,現状に沿った戦略的判断を下したことである。NPPの中核であるJVPは1987年から1990年にかけてインド平和維持軍(IPKF)の駐留に反対し,インド製品ボイコットを主導するなど反インド的な政策を展開した。近年もインド関連プロジェクトへの反対姿勢を示してきた。またNPPは国内のマスコミなどからは泡沫政党とみなされていたが,インドの公式招待をきっかけに,AKDは大統領選挙における有力候補として浮上した。
インドのジャイシャンカル外相は,5月にインドネシアで開催された世界水フォーラムの場でラニル大統領と会談し,6月にもスリランカを訪問している。同外相はAKD大統領就任直後の10月にも再びスリランカを訪問し会談を実施するなど,積極的な関係構築を図った。
AKD側もインドのアプローチに応じるように徐々に親インド的な態度をとるようになり,就任後初の外遊先としてインドを選択し,「スリランカの領土を利用してインドの安全保障を脅かすようなことは決してない」とインドの懸念を払拭するなど,対インド関係の改善に前向きな姿勢を示している。
中国,インドの介入に不快感2022年から2023年にかけて,中国によるスリランカへの科学調査船派遣問題は両国関係の焦点となった。インドは海底調査を通じた中国潜水艦のインド洋での活動活発化を懸念し,強い警戒感を示した。この状況下でスリランカは2023年末,調査船入港に関する標準作業手順(SOP)を策定したものの,中印両国への配慮から,その運用を1年延長することで問題の先送りを図った(『アジア動向年報2024』参照)。
しかし,中国は2024年に入ると一層強硬な姿勢を示し,その動きは段階的にエスカレートした。1月には,インド・モルディブ・スリランカ海軍の合同演習(DOSTI)中に,モルディブに対し調査船のマレ入港を要求するなど,挑発的な行動に出た。中国政府は2月になるとスリランカによる調査船の入港禁止に「強い不満」を表明した。3月のボアオ・アジア・フォーラム時に行なわれたディネーシュ・グナワルダナ首相との会談で習近平国家主席は,中国企業の投資に対する「公正で透明な」環境の必要性を訴え,さらに他国(明らかにインドを指す)からの不当な影響力行使への不快感を示した。大統領選挙前の9月13日にも,在スリランカ中国副大使により中国の調査船立ち入り制限への不満が表明された。11月末には戚振宏・中国大使が,(中国が資金提供した不採算)プロジェクトはスリランカの要請によるもので,運営もスリランカに委ねられているとし,「債務の罠」の存在を否定した。そのうえで,自国の利益のために独立した外交政策維持をスリランカに求めた。
このような中国の圧力に対し,NPP政権は2025年1月,外国軍艦や調査船のスリランカ海域進入に関する既存のSOPを改定するための特別委員会設置を発表した。さらなる問題の先送りである。スリランカとしては経済関係では中国と,地域の安全保障面ではインドと緊密な関係を築く外交戦略が望ましい。しかし中国はより全面的な関係強化を求めており,新政権は難しい立場に立たされている。
国民の期待を担って成立したNPP政権は,国会議長の早々の解任など政権運営の経験不足による不手際もあり,順風満帆の船出とはならなかった。人々は当面,新政権の動向を静観する姿勢を示しているものの,具体的な成果を求める声は強い。国民の期待に応えるためには,汚職のない政治を目に見える形で実践することが求められるが,当面の課題は物価抑制や社会保障政策の拡充による生活水準の向上となろう。
経済ではIMFのEFF融資の条件を満たしながら,国民の経済的負担を最小限にすることが課題となる。しばしば発生する農産物の供給不足と価格高騰は国民の大きな負担となっている。短期的な対処法としては,関税引き下げによる輸入促進が考えられる。しかし長期的な対策を講じるための十分な時間が与えられたNPP政権には,国内市場の需給と価格の安定だけでなく輸出にも貢献できる産業として農業部門を強化するための新たな政策とその実行が期待される。
対外関係は引き続き,インドと中国の間でバランスを取り,両国の圧力に屈しない姿勢を国民に示せるかが課題である。実質的な現状維持であるが,国際政治経験の少ないNPP政権にとっては大きな試練である。
(新領域研究センター)
| 1月 | |
| 9日 | バドゥッラ選出の統一人民の力(SJB)のチャミンダ・ウィジェシリ国会議員,辞任。後任にナヤナ・ワサラティラカ選出。 |
| 9日 | 国家統一和解局法案,国家水路法案,国会で可決。 |
| 10日 | アン英王女,来訪。ラニル・ウィクレマシンハ大統領と会見。 |
| 11日 | 鈴木俊一財務大臣来訪(~12日)。 |
| 13日 | 大統領,世界経済フォーラム出席のためスイスへ出発。 |
| 15日 | 大統領,スイスからウガンダ訪問。非同盟諸国会議に出席。 |
| 17日 | 最高裁判所,2021年にゴタバヤ・ラージャパクサ大統領がドゥミンダ・シルヴァに与えた大統領恩赦は無効と判決。 |
| 21日 | 連邦党(ITAK)リーダーに強硬派のS・シュリタランが就任。 |
| 24日 | オンライン安全法案,賛成108,反対62で可決。 |
| 25日 | スリランカ大衆党(SLPP)のサラット・ニシャンタ国会議員,交通事故で死亡。後任にジャガット・プリヤンカラ選出。 |
| 29日 | ロハン・ラトワッテ,プランテーション産業・マハヴェリ開発大臣に任命。 |
| 30日 | 治安裁判所,SJBの抗議デモ禁止令を発するも,SJBはデモを強行。警察,放水銃と催涙ガスを使用。 |
| 31日 | シャシンドラ・ラージャパクサ,灌漑・水資源管理国務大臣に就任。 |
| 2月 | |
| 1日 | 憲法評議会(CC),大統領の最高裁判事指名を拒否。 |
| 2日 | 元保健大臣ケヘリヤ・ランブクウェラ,低品質の免疫グロブリン注射輸入で逮捕。 |
| 3日 | 海軍,スリランカ海域で密漁トロール船2隻に乗ったインド人漁民23人を逮捕。 |
| 3日 | タイと自由貿易協定(FTA)を締結。 |
| 5日 | 人民解放戦線(JVP)党首アヌラ・クマーラ・ディサナヤケ(AKD)が率いる政党連合人民の力(NPP)代表団が,インド政府から公式招待される。 |
| 6日 | 2023年12月より実施中の麻薬撲滅作戦「ユクティヤ」(正義),50日目。これまでに5万6000人以上を逮捕。 |
| 7日 | 大統領,国会で政策声明を発表。 |
| 8日 | 大統領,オーストラリア訪問。インド洋会議に出席(~10日)。 |
| 16日 | 内閣,刑法修正案を承認。 |
| 26日 | 内閣,パラーテ執行(差押え)法の2024年12月15日までの一時停止を承認。 |
| 26日 | デーシャバンドゥ・テンネコーンが警察長官(IGP)に就任。 |
| 27日 | ウッディカ・プレマラトネSLPP議員辞任。後任にS・C・ムトゥクマラナ選出。 |
| 28日 | 1991年のラジーヴ・ガンディー暗殺事件で32年間の服役後,釈放されたサンタン氏死亡。 |
| 29日 | 中国政府,スリランカの排他的経済水域での科学調査船の活動禁止をめぐりスリランカに強い不満を表明。 |
| 3月 | |
| 4日 | 公益事業委員会(PUCSL),電気料金21.9%引き下げを発表。 |
| 5日 | 国会議長不信任動議,提出。 |
| 6日 | マレーシア,インドネシアなど6カ国の駐スリランカ大使がAKDと会談。 |
| 6日 | 大統領,SLPP党首マヒンダ・ラージャパクサおよびバジル・ラージャパクサと選挙に向けた連携の可能性について協議。 |
| 18日 | 大統領,閣僚らに大統領選挙を国会議員総選挙(以下総選挙)よりも先に実施すると通告。 |
| 18日 | エラン・ウィクラマラトネ議員がロヒタ・アベ・グナワルダナの公共企業委員会委員長任命に反対し,同委員会委員を辞任。 |
| 19日 | 水越英明・日本大使がAKDと会談,政治・経済情勢について協議。 |
| 20日 | 国会議長マヒンダ・ヤーパ・アベワルダナに対する不信任動議,否決。 |
| 21日 | 政府とIMF,拡大信用供与措置(EFF)の第2回審査について事務レベルで合意。 |
| 21日 | 銀行融資回収(特別規定)法案,財務副大臣により議会に提出。 |
| 22日 | 元大統領マイトリパーラ・シリセーナ,イースター・テロの真犯人を知っていると発言。 |
| 25日 | ディネーシュ・グナワルダナ首相,6日間の訪中。ボアオ・アジア・フォーラム参加の際に習近平国家主席と会談。習主席,スリランカに公正で透明な投資環境を求める。 |
| 26日 | 中央銀行,政策金利を0.5ポイント引き下げて9%に。 |
| 27日 | ナーマル・ラージャパクサ,SLPP全国オーガナイザーに任命。 |
| 29日 | 仏教の力団(BBS)のニャーナサーラ師,民族調和を乱したとして懲役4年の実刑判決。 |
| 4月 | |
| 3日 | ラジーヴ・ガンディー暗殺事件の元受刑者3人がスリランカに帰国。 |
| 4日 | コロンボ県裁判所,シリセーナのスリランカ自由党(SLFP)議長としての職務停止を命じる。 |
| 5日 | SJB,自由人民会議(FPC)の一部議員とMOUを締結。 |
| 7日 | 閣議,インドのアダニ・グループによる風力発電プロジェクトを承認。 |
| 16日 | 国内最大のNGOサルヴォダヤ・シュラマダーナ運動の創設者A・T・アリヤラトネ逝去。享年92才。 |
| 21日 | シリセーナ,ウィジェダーサ・ラージャパクシャをSLFP議長代行に任命。 |
| 23日 | 孙海燕・中国国際部副部長ら,AKDとJVP本部で会談。 |
| 24日 | イランのライシ大統領,来訪。イランによるウマ・オヤプロジェクト除幕式。 |
| 25日 | 国会で27日まで2019年発生のイースター・テロについて討論。 |
| 5月 | |
| 1日 | SLFP,ウィジェダーサ・ラージャパクシャ法務大臣を大統領候補に選出。 |
| 4日 | 上川陽子外務大臣,来訪。 |
| 8日 | 最高裁,SJB所属のダヤナー・ガマゲー議員はスリランカ国民ではないとして国会議員の資格なしと判断。 |
| 9日 | 大統領,国会で経済に関する特別声明発出。 |
| 9日 | 選挙管理委員会(EC),大統領選挙は9月17日~10月16日に実施すると発表。 |
| 10日 | ダヤナー・ガマゲーの後任の国会議員にムジブル・ラーマン選出。 |
| 13日 | 来訪中のドナルド・ルー米国務省南・中央アジア局国務次官補,NPP代表と会談。 |
| 18日 | 大統領,インドネシア訪問。第10回世界水フォーラムに出席。 |
| 21日 | 政府,内戦中に大量虐殺があったとするカナダ首相の発言に抗議。 |
| 21日 | モンスーンによる雨により,全国で洪水と土砂崩れ発生(~6月2日)。16人死亡。 |
| 22日 | 大統領,大統領選挙を総選挙よりも先に行うと発表。 |
| 22日 | 元軍司令官サラット・フォンセーカ,SJBから離脱し,独立候補として大統領選挙に出馬すると表明。 |
| 22日 | 経済変革法案など経済法案,国会に提出。 |
| 6月 | |
| 6日 | 最高裁,2005年のロイヤルパーク事件の被告ジュード・ジャヤマハに与えられた大統領恩赦を取り消す。 |
| 9日 | 大統領,新政府の宣誓式に出席するためインド訪問(~10日)。 |
| 13日 | IMF理事会,EFFの第2回審査を承認。スリランカは第3回分支援3億3700万ドルの支払いを受ける予定。 |
| 19日 | 大統領,新型コロナウイルス禍で火葬を強制したことについてムスリムコミュニティに謝罪。 |
| 20日 | インドのジャイシャンカル外相,来訪。大統領,首相,外相およびマヒンダ・ラージャパクサ,サジット・プレマダーサ,タミル人政治家らと会談。 |
| 26日 | 政府,二国間債務について公的債権国会合(OCC)および中国と合意。 |
| 26日 | 外務国務大臣,ウクライナで戦闘に従事するスリランカ人について調査するためロシア訪問。 |
| 27日 | 国会,電力法案可決。 |
| 28日 | ヒルニカ・プレマチャンドラ元国会議員,2015年に発生した誘拐事件で3年の懲役刑。 |
| 30日 | タミル国民同盟(TNA)のS・サンバンダン逝去。享年91才。国会の議席はサムガム・クハダサンに。 |
| 7月 | |
| 8日 | プッタラム治安裁判所,アリ・サブリ・ラヒーム国会議員に密輸容疑で逮捕命令。 |
| 8日 | 200以上の国有部門労組,2万5000ルピーの手当支給を求め2日間ストライキ。 |
| 15日 | PUCSL,電気料金22.5%引き下げ。 |
| 22日 | ヌワラエリア治安裁判所,ジーヴァン・トンダマン水供給・農園インフラ開発大臣に紅茶工場を襲撃した件で逮捕状発布。 |
| 22日 | 来日中のAKD,柘植芳文外務副大臣を表敬。 |
| 22日 | アリ・サブリ外相,新型コロナ感染症で死亡したイスラム教徒の火葬について謝罪を申し出る提案を承認。 |
| 23日 | 中銀,政策金利を0.25ポイント引き下げ8.75%に。 |
| 24日 | 最高裁,デーシャバンドゥ・テンネコーンのIGPとしての職務を差し止める命令発布。 |
| 25日 | 国会,経済変革法案など可決。 |
| 26日 | EC,大統領選挙は9月21日に実施と公式に発表。 |
| 27日 | ラニル・ウィクレマシンハが正式に大統領選挙立候補を発表。 |
| 8月 | |
| 2日 | 最高裁,VFSグローバル社へのビザ発給業務委託の停止を命令。 |
| 6日 | SLPP,ナーマル・ラージャパクサを大統領候補に指名。 |
| 8日 | 最高裁,2013年に起きた実業家殺害事件で元警察副長官(DIG)ヴァース・グナワルデナ他5人の死刑判決を支持。 |
| 9日 | 最高裁,SJBによるハリン・フェルナンド観光大臣とマヌーシャ・ナーナヤッカラ労働大臣の党員資格剥奪を認める。両者は国会議員と閣僚の地位を失う。 |
| 15日 | 大統領選挙立候補者登録締め切り。史上最多の39人が立候補。 |
| 15日 | ミャンマーのサイバー犯罪キャンプでスリランカ人20人が救出される。 |
| 15日 | SJB所属のタラタ・アトゥコラレ国会議員,辞職。 |
| 22日 | 最高裁,ECに地方選挙をできるだけ早期に実施するよう命令。 |
| 9月 | |
| 4日 | 国会選任委員会報告書,スリランカの子供の3分の1が栄養失調に苦しんでいると明らかに。 |
| 21日 | 大統領選挙投票日。 |
| 22日 | ラクシマン・ヤーパ南部州知事辞任。 |
| 23日 | AKD,大統領就任。 |
| 23日 | ディネーシュ・グナワルダナ首相辞任。 |
| 24日 | ハリニ・アマラスーリヤ,首相に就任。 |
| 24日 | AKD大統領,議会解散を宣言。 |
| 25日 | 大統領,新政権の政策方針について演説し,IMFと直ちに交渉を始めると語る。 |
| 30日 | 政府,スリランカ航空を売却しないと明言。 |
| 10月 | |
| 1日 | ビジタ・ヘーラット内閣報道官兼大臣,総選挙後に新憲法を起草すると発表。 |
| 3日 | 大統領,IMFの代表団と協議。政府はEFFプログラムを中断なく継続と公表。 |
| 4日 | 大統領,インドのジャイシャンカル外相と会談。スリランカの領土がインドの安全保障上の利益に反する目的で利用されることは決してないと述べる。 |
| 8日 | 政府,総選挙後にインドのアダニ・グループとの風力発電契約を見直すと発表。 |
| 11日 | 総選挙に147政党,94独立グループが候補者擁立。 |
| 15日 | 水害により15万人以上が被害。 |
| 23日 | 在スリランカ米大使館,治安上の理由から米国民に東部のアルガム・ベイ訪問を避けるよう警告。 |
| 26日 | エルピティヤ村評議会選挙でNPPが勝利。 |
| 11月 | |
| 1日 | パラリ=アッチュヴェリ間道路,30年ぶりに開通。 |
| 4日 | 最高裁,11月14日の総選挙実施に反対する基本権請願を棄却。 |
| 13日 | 米大使館,アルガム・ベイ訪問規制を解除。 |
| 14日 | 総選挙投票。NPPが225議席中159議席を獲得。SJBは40議席にとどまる。 |
| 18日 | 閣僚ら21人が宣誓。 |
| 20日 | ハリン・フェルナンド元大臣,選挙法違反で逮捕されるもすぐに保釈。 |
| 21日 | 大統領,国会で政策声明。人種差別政治と宗教過激主義を批判。 |
| 23日 | IMFとEFFの第3回審査について事務レベル合意。 |
| 25日 | アーナンダ・ウィジェパーラ公安大臣,北部の人々は戦死者を追悼する自由があるが,法律に従うべきと主張。 |
| 26日 | 大雨と強風により各地で洪水や地滑りが発生(~29日)。17人死亡。 |
| 26日 | 中銀,無担保コールレート(OPR)導入を決定。8%に設定(実質的に0.75ポイント引き下げ)。 |
| 12月 | |
| 2日 | ムルドゥ・フェルナンド,第48代最高裁長官として宣誓。 |
| 6日 | 国会,2025年4月までの暫定予算案を可決。 |
| 6日 | 視覚障害をもつNPP議員スガット・ワサンタ・デシルヴァが国会で演説。 |
| 7日 | 来訪中のドナルド・ルー米国務省南・中央アジア局国務次官補,大統領と会談。 |
| 9日 | 米国,元スリランカ航空CEOカピラ・チャンドラセナと元駐ロシア大使ウダヤンガ・ウィーラトゥンガに制裁を科すと発表。 |
| 12日 | 最高裁,ラニル前大統領によるニッサンカ・バンドゥーラの最高裁判事指名をCCが拒否した件に関する基本権請願を棄却。 |
| 13日 | アショーカ・ランワラ国会議長,学歴詐称が明らかになり議長を辞任。 |
| 15日 | 大統領,インド訪問(~17日)。16日にモディ首相と会談。共同声明発出。 |
| 20日 | 格付け機関のフィッチ,スリランカの格付けを制限付き債務不履行(RD)からCCC+に引き上げると発表。 |
| 21日 | マヒンダ・シリワルダナ財務長官,スリランカが正式に債務不履行脱却と発言。 |
| 23日 | 元大統領の警備から軍兵士を撤退させ警察官のみにすると決定。 |

(出所) 大臣秘書室ウェブサイト掲載閣僚名簿(https://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。
大臣秘書室ウェブサイト掲載副大臣名簿(https://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=26&Itemid=24&lang=en)。


(出所) 大臣秘書室ウェブサイト掲載閣僚名簿(https://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。
大臣秘書室ウェブサイト掲載副大臣名簿(https://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=26&Itemid=24&lang=en)。

(注) 1)暫定値。2)労働力人口は15歳以上。3)2018年から2022年は2013年基準,2023年と2024年は2021年基準。年平均。4)各四半期の平均。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, KEY ECONOMIC INDICATORS.

(注) 1)改定値。2)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 1などより筆者作成。

(注) 1)改定値。 2)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, ON LINE EXCEL BASED VERSION OF STATISTICAL APPENDIX.

(注) 1)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 6,7より筆者作成。

(注) IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入。1) 改定値。2)暫定値。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 10,11などより筆者作成。

(注) 1)暫定値。2)2021年以降のEUはイギリスを含まない。
(出所) Central Bank of Sri Lanka, Annual Economic Review 2024, STATISTICAL APPENDIX, TABLE 8, 9より筆者作成。