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Anthropological Science (Japanese Series)
Vol. 120 (2012) No. 2 p. 99-119

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http://doi.org/10.1537/asj.121022

総説

この総説は,中新世以降のアフリカにおける「ヒト上科」(正確には,広くオナガザル上科以外の狭鼻類:非オナガザル狭鼻類)の衰退には,オナガザル上科との競争が影響したという仮説の検討を行った。化石記録の見直しでは,後期中新世の初頭までは,オナガザル上科の放散も,非オナガザル狭鼻類の衰退も認められない。オナガザル科の放散と非オナガザル狭鼻類の衰退は,おそらく同じ時期(1000~700万年前:10–7 Ma)に起こったと考えられる。10 Maまでに森林性のコロブス亜科と(おそらく)オナガザル亜科が現れ,未熟果も消費可能な果食者として,非オナガザル狭鼻類の(潜在的)競争者となった可能性も支持される。r戦略をとったオナガザル科は,後期中新世以降の環境悪化の下では,K戦略者だったと考えられる大型の非オナガザル狭鼻類よりも有利な立場に立ったであろう。しかし,オナガザル科と非オナガザル狭鼻類が直接の競争により入れ替わったのかどうかについては不明である。10–7 Maの間,東アフリカでは,C3環境からC4環境への移行が起こった。この変化は,非オナガザル狭鼻類の多様性・集団サイズに直接影響を与えたかもしれないし,霊長類コミュニティにおける種間関係に影響したかもしれない。これらを正しく推定するには,10–7 Maのオナガザル科(とりわけ森林性オナガザル亜科)と非オナガザル狭鼻類の豊富な化石記録が必要である。

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