Anthropological Science (Japanese Series)
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シンポジウム特集:シンポジウム「『生物基礎』と『生物』で教える人類の遺伝と形質」
「生物基礎」と「生物」で理解するヒトの遺伝と進化
中山 一大
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キーワード: 遺伝的多型, ゲノム, 進化
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2015 年 123 巻 1 号 p. 67-73

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抄録

過去10年における核酸解析技術の爆発的進歩は,ヒト全ゲノム塩基配列解読に掛かる費用と時間を劇的に減少させた。ヒトゲノムの全容が明らかになるにつれて,ヒトの生物学的特徴および進化史に関する新しく,そして驚くべき知見が次々と蓄積されつつある。さらに,ヒトゲノム多様性情報利用の社会実装が,医療分野を中心にいよいよ現実のものとなりつつある。一方で,我が国の中等教育におけるヒト遺伝学の学習内容は依然として薄弱であり,学協会を中心にこれを是正しようというはたらきが活発化している。人類学には,ヒトの形質と進化についての長い研究の歴史があり,ヒト遺伝学教育のための魅力ある教材を提供することができるかもしれない。本稿では,「生物基礎」「生物」でも理解可能教材として利用可能と思われる遺伝人類学の研究成果を紹介するとともに,人類学がヒト遺伝学教育の普及に果たす役割について議論する。

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© 2015 日本人類学会
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