Anthropological Science (Japanese Series)
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集団の健康指標としての人口特性
途上国に焦点をあてた生態学的検討
大塚 柳太郎
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1999 年 107 巻 2 号 p. 145-153

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抄録

人口転換は先進国では終了したが, 途上国ではさまざまなレベルで現在進行である。1973年, 1983年, 1993年における普通死亡率と普通出生率を, 世界の10地域別に比較すると, アフリカで人口転換の進行度がもっとも遅いこと, 西アジアと東南アジアでは出生率の低下度合が前半の10年間に比較し後半の10年間で鈍化したことが見出された。一方, 著者が調査したパプアニューギニアのギデラ集団では, 近代化の影響で顕著な死亡率低下と出生率上昇がおこり, 人口増加率が著しく上昇していることが認められた。人類学的集団における人口分析は, ヘルスサイエンスと人類学の視点が必要で, 地球人口問題の理解にも関連し, ますます重要になると考えられる。

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