2016 年 65 巻 2 号 p. 89-95
カニムシ類の付属肢 1 本から DNA を抽出し, 証拠標本を保持しつつ, 安価・迅速にカニムシ類の DNA 解析を実施する方法を考案した. 本方法は, 費用や作業時間を大幅に短縮することができ, 一般的な DNA 解析用の試薬や機器のみを使用するため, 導入も容易である. 亜目の異なる 2 種:ニホンカブトツチカニムシ Mundochthonius japonicus とチビコケカニムシ Microbisium pygmaeum の片方の触肢から本プロトコルに従い DNA を抽出し, ミトコンドリア DNA の COI 領域を対象に PCR 増幅, 塩基配列の決定を行った結果, 解析した全ての個体から有効な塩基配列を取得できた.