Acta Arachnologica
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三ツ峠山におけるササラダニ類の垂直分布
藤田 奈々子西出 嗣代青木 淳一
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1976 年 27 巻 1 号 p. 16-30

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抄録

山梨県三ッ峠山の標高700mの地点から, ほぼ100mの高度ごとに標高1750mまでの計12地点で土壌のサンプリングを行ない, 抽出されたササラダニ類を調査し, 次のようなことがわかった。
1. ササラダニ種数は, 標高の上昇に伴なう気温•地温の下降につれて減少してゆく傾向がある (図5)。
2. ササラダニ個体数は, 標高の変化とはほとんど無関係に, むしろ土壌の水分含量や有機物含量の変化と一致した変化の傾向を示した (図6)。
3. 全12地点から得られた104種のササラダニの垂直分布をみると, 標高の高いところ, あるいは低いところに限って出現する種と, 全体にまたがって出現する種があり, その点からいくつかの分布様式が区分された (表3)。
4. 各地点で優占種を選出してみると, 限定された高度範囲で優占種となるもの (特有な優占種)と, 全体にまたがって優占種となりうるもの (非特有な優占種) とがあり, 優占度の特に高い種は全て後者に含まれた。特に, ヨスジツブダニとクワガタダニの2種は, 三ッ峠山ほぼ全域にわたって高い優占度を示した。

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