Acta Arachnologica
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キョジンダニ (ダニ目: 隠気門亜目) の後胚子発生.
(1) 幼生期
鈴木 恵一
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1977 年 27 巻 Specialnumber 号 p. 95-107

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抄録

隠気門類の幼若期にあるダニと成体とでは別種を思われるほど形態的差異が著しく, 高等なものほど形態上の変化が激しいという傾向がある. これに対し, 下等隠気門類では, 本研究のキョジンダニの如く差異のあまり目立たないものも見られる. キョジンダニは, AOKI (1960) が Apolohmannia として記載したものであるが, その後 AOKI and FUJIKAWA (1969) により Perlohmannia に移された経緯を持つ. 本属のダニは5種, 1型 (地理的差異?) が知られており, 幼若期の詳細な形態的研究GRANDJEAN (1958, 1961) が, P. coiffaiti, P. dissimilis について行ったものがある.
本研究第1報では, キョジンダニの幼生とこれら2種のそれとの比較形態学的研究を行った. その結果, 本性が既知の2種の幼生と著しい差異のあることがわかった. つまり, 本種には (1) 後体部背面の節片化した板状構造 PY のないこと, (2) pseudoanal setae のないこと, (3) 後体部毛 h1 が鉤状をしておらず, 単子葉類の葉に似た形態をしていること, (4) 触肢毛式, 先脚毛式が異なること, (5) 第2歩脚, 第3歩脚の附節には舳毛 (p) がない. などであり, 成体での差異の少ないことにくらべ, 幼幼生期では種々の点で異なっている.

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