1992 年 41 巻 2 号 p. 203-209
ウシオダニの Anomalohalacarus anomalus (TROUESSART, 1894) は, 原記載が不十分なことと模式標本の再検討が困難なことから, 分類学上の混乱を招いている. そこで, 従来 A. anomalus に同定されてきた北海産の標本と NEWELL の所蔵標本の再検討を行った. その結果, 北海産の標本は A. anomalus であることが確認され, この標本に基づいて本種の判別形質の補足, 修正を行った. 一方, NEWELL (1947, 1949) が Anomalohalacarus 属の模式種として記載した標本は, 脚や触肢の毛式から, A. anomalus ではなく, A. tenellus BARTSCH, 1979と A. tenuis BARTSCH, 1979 の2種が混在していることが判明した.