北海道鹿追町東ヌプカウシヌプリの岩塊地から得られた標本に基づいて, Aculepeira タカネオニグモ属 (新称) の1新種を Aculepeira matsudae マツダタカネオニグモ (新称) と命名して記載した. 本種は Aculepeira carbonarioides (KEYSERLING, 1892) に似ているが, 雄の触肢の形態によって見分けることができる. 本属のクモ類はこれまで日本からは未記録であった. 本種の基準産地は岩塊流に相当し, 溶岩岩塊からなる累石風穴が見られる. このため, 亜高山帯にもかかわらず高山帯の植物群落が混在する風穴植生が成立しており, 極めて特異的な環境である.