Acta Arachnologica
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日本産ヒメヘソイレコダニ Rhysotritia ardua (C. L. KOCH) の2型に関する研究
I. 形態的比較と分布
島野 智之青木 淳一
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1997 年 46 巻 1 号 p. 39-51

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抄録

日本各地から採集されたヒメヘソイレコダニ Rhysotritia ardua (C. L. KOCH, 1841) にみられるM型 (爪式 1-1-1-1) とBT型 (爪式 2-3-3-3) の2型について, その形態と分布を比較調査した. 両型は爪数以外にも差異があり, BT型はM型に比べ, 体が大きく, 体高が高く, 体色が濃く, 体毛が太く, 胴感毛の先端がやや開き, ケバが顕著であり, 桁毛の位置が前方よりで吻毛に近づくなどの点で異なっていた. 地理的分布についてみると, 両型の水平分布は北海道から宮古島までほぼ重なり, 同所的な分布を示した. 垂直分布についてみると, 両型ともさまざまな標高に出現し, どちらかの型がより高所あるいは低所に生息するというような傾向は認められなかった. 以上の結果から, この2型は亜種の関係にはないことが判明したものの, 同一種の種内変異とみなすか, 別種とみなすかについては結論が出ず, 今後の生態学的および生化学的研究の結果を待って決めることになる.

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