1997 年 46 巻 2 号 p. 115-120
コガネグモ類4種およびキシダグモ類1種のヘモシアニンをアクリルアミドゲルを用いた二次元電気泳動によりモノマーサブユニットに分離し, 各サブユニットのN末端アミノ酸配列を分析した. どの種にもN末端が修飾されているためにN末端配列分析のできないサブユニットが1個から数個存在していた.
N末端アミノ酸配列比較から, コガネグモ類のヘモシアニンには2種類の配列があり, その一方はコガネグモとジョロウグモの系統か, あるいはコガネグモとジョロウグモの共通の祖先の系統で重複し, 数を増したと推定された. これらのサブユニットの全配列を比較すれば, コガネグモ類の分岐パターンを知ることができる. コガネグモ類のもう一方の配列に似たN末端を持つサブユニットが, キムラグモとサソリモドキ, サソリおよびカブトガニ類にも存在しているので, これらのサブユニットを調べれば, これらの鋏角類の関係を明らかにできる.
イオウイロハシリグモは, これまで全く他のヘモシアニンで報告されていないN末端アミノ酸配列を持っていた.