Acta Arachnologica
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有鉤類 Laniatores の繁殖と成長に伴ふ形態の變化
三好 保徳
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1941 年 6 巻 3 号 p. 98-107

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抄録

飼育及び連績的採集観察により Pseudobiantes japonicus は大體6月上旬より7月下旬に至る間を中心として交接.産卵,孵化し幼形は遅々ずこる成長をつゞけてそのまゞ越冬し一ケ年では成體にならぬ様に想はれる。城體となる所要期間の確證は今後の研究を必要とする。盲蛛類は老若の差によりその形態には著しき變異あり,單に1段階の2, 3の標品による形態の記載は種の完全なる記載ではなく,必ず幼形より成體迄の形態の攣化を観察したる後に於いて種の眞の形態を論ずべきものであることを強調する。尚本種の觀察に關聯し Nelima genufusca, Gagrellula ferruginea, Oligolophus sp. 等の如き有髪類は秋末成熟産卵しその後間もなく皆斃死し,卵にて越冬,春既に極めて小形の彼等の幼形を採集出來る。これ等は甚だ貧食で速かに成長し秋末成熟産卵斃死する。因つて彼等の一生は一ケ年と考へられ Pseudobiantes japonicus 等の如き有鉤類とは大いに異なるものと考察されるのである。

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