AUDIOLOGY JAPAN
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原著
人工内耳装用児における注意力欠損, 多動・衝動性の経時的変化
中西 啓岩崎 聡橋本 泰幸水田 邦博峯田 周幸
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2009 年 52 巻 3 号 p. 172-176

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抄録

高度難聴に加えて行動障害を合併する児童では, 人工内耳装用後の言語発達が悪いとの報告があり, 人工内耳埋込術前・術後における注意力欠損, 多動・衝動性についての行動面の経時的変化を, 米国精神医学会が定めたDSM-IV問診表を用いて調査・検討を行った。
2000年から2007年までに人工内耳埋込術を施行した児童35人の中で, 注意力欠損, 多動・衝動性について評価できた14児を対象とした。多動・衝動性に関する項目の平均陽性数は, 人工内耳埋込術前から術後早期にかけて, 注意力欠損性に関する項目の平均陽性数より多かった。また, 注意力欠損, 多動・衝動性の平均陽性数は, ともに術前に比べ術後6ヶ月で減少し, 術後12ヶ月で一時的に増加した後, 再び減少していく傾向を示していた。
人工内耳装用児は, 術後一時的に行動面で不安になる傾向があるため, 言語発達とともに, 行動面にも注意して観察していく必要があると思われる。

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© 2009 日本聴覚医学会
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