AUDIOLOGY JAPAN
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原著
就学後に人工内耳埋め込み術を行った人工内耳装用児1例の聴能訓練効果について
土井 礼子徳光 裕子河野 淳
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2009 年 52 巻 4 号 p. 204-213

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抄録

聴取能力の改善が困難であった就学後に人工内耳埋め込み術を行った人工内耳装用児一例に対し, 聴覚管理や親指導を含む聴能訓練を実施したところ, 聴取能力および人工内耳への満足度が向上した。本症例は7歳5ヶ月時に人工内耳埋め込み術を行ったが, 手術直後に環軸椎回旋性亜脱臼の治療を要し, マッピング時にも目の下の痙攣, 舌の痺れ, 耳の痛みなどの症状により, 適切なマップ作成が困難だった。術後1年時に3ヶ月間の聴能訓練を実施し, 聴取能力に多少の改善が見られたが, その後, マップの変動などもあり, 聞き返しが増え, 11歳5ヶ月時に母親の希望により聴能訓練を再開した。訓練では, マッピングを含めた聴覚管理, 親指導の徹底と本人との話し合いを含む総合的なアプローチを行い, 母子共に精神的な安定を心がけた。7ヶ月間の訓練後, 聴取能力が改善し, 人工内耳への満足度が高まった。

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© 2009 日本聴覚医学会
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