AUDIOLOGY JAPAN
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原著
一側のみを指向性にした両耳補聴器フィッティングの有用性
—健聴者と難聴者の雑音下の語音了解閾値を用いての検討—
上前 牧松平 登志正井上 ひとみ関谷 芳正
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2009 年 52 巻 6 号 p. 596-601

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抄録

指向性マイクを有する補聴器を装用すると, 雑音環境下の語音聴取が改善する利点がある反面, 側方や後方からの呼びかけや警告音, 環境音などが聞き取りにくくなる欠点がある。この問題点の改善策として, 片耳のマイクを指向性, 対側耳を無指向性とする非対称指向性補聴器フィッティングが提案されているがその有効性の評価は報告により異なっている。そこで今回, 難聴群13例と健聴群28例を対象に, 両耳に補聴器を適合し, 両耳無指向性, 両耳指向性, 非対称指向性の3つ (健聴者は裸耳条件を含めた4つ) のマイクロホン条件について, 語音が前方から雑音が側方と後方から入射する場合の雑音下の語音了解閾値 (SRT) を測定し比較した。その結果, 非対称指向性条件では, 両耳無指向性条件に比べた雑音下のSRTの改善度が平均1~1.5dB低下したが, 依然として約3dBの指向性効果が認められた。この結果は, 非対称指向性の補聴器フィッティングにより, 指向性の効果を維持しつつ環境音などの聴き取りも改善できる可能性を示唆する。

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© 2009 日本聴覚医学会
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