AUDIOLOGY JAPAN
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原著
広汎性発達障害を伴う人工内耳装用児の言語獲得状況
加藤 敏江佐藤 栄祐服部 琢
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2010 年 53 巻 4 号 p. 251-258

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抄録

今回我々は, 広汎性発達障害 (以下PDD) を伴った人工内耳 (以下CI) 装用児の言語能力や聴取能力の獲得状況, ハビリテーションの方法やPDDの診断の経緯などを検討した。
対象は, 当センターで言語習得前にCIの埋め込み術を実施したPDDを伴う4名である。対象のPDD児の比較対照児は明らかな発達障害が認められない13名とした。全症例の17名には就学時にWISC-III知能検査と語音聴取検査を実施した。
PDD児間で就学時の言語能力と語音聴取能の獲得には個人差があったが, 半数は良好な言語能力を獲得していた。1名では言語能力や語音聴取能の獲得に困難を極めた。また, PDD児はすべて聾学校に就学していたが, 言語獲得が可能な症例であっても社会性の障害は残存したためであった。PDD児でもコミュニケーション方法は音声言語主体であったが, 視覚情報の補助的使用は音声言語の獲得コミュニケーションに有用だった。

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© 2010 日本聴覚医学会
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