AUDIOLOGY JAPAN
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原著
人工内耳装用成人における人工内耳QOL評価と関連する要因の検討
赤松 裕介尾形 エリカ廣田 栄子加我 君孝山岨 達也
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2011 年 54 巻 1 号 p. 86-94

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抄録

成人中途失聴者における人工内耳 (CI) の有効性について, QOLについての自己評価と語音聴取評価を用いて検討し, 関連する要因について解析した。
対象はCI装用後1年以上経過した中途失聴成人32例である。QOL評価は, オランダで作成されたthe Nijmegen cochlear implant questionnaire (NCIQ) を用いて, 術前と術後の状態を比較した。同時に術後はCIへの満足度も評価した。聴取能評価は, 67-S式単音節検査と福田版単音節検査を用いた。
QOL評価では音の検知領域の改善が大きく, 音の認識・社会的相互作用・活動・自尊心領域と続いた。総合得点は聴取能と強い相関を認めた。また, QOLへの個人属性の関与は少なかった。
CIの満足度には, 聴取能のほか, 社会的相互作用・活動領域のQOLが関与していた。CIの効果評価には, 聴取能等の客観評価とQOLの自己評価とを併せた総合的な検討が有効といえる。今回使用したNCIQ質問紙はCI装用者におけるQOLの主観的評価に有用であった。

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© 2011 日本聴覚医学会
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