2011 年 54 巻 2 号 p. 118-122
補聴器特性図の周波数レスポンスから簡易的に利得を算出する方法が「補聴器適合検査の指針 (2008)」1) に示されている。この方法がファンクショナルゲインとどの程度一致しているかを比較するため, 難聴者52名 (男23名, 女29名) の補聴外来受診患者を対象に, 指針1) に従い250, 500, 1000, 2000, 4000Hzの5周波数について検討した。各周波数とも利得算出方法間で有意な相関があった。250, 500, 1000Hzでは利得算出方法間で有意差はみられなかったが, 2000, 4000Hzでは有意差がみられた。両利得算出方法の平均値で最も差がみられたのは2000Hzでファンクショナルゲインの方が7.6dB大きかった。純音聴力検査, ファンクショナルゲインからの誤差を考えるとこれらの結果は許容範囲内であり, 補聴器適合を判定する際補聴器特性図から利得を算出する方法を用いても問題はないと考えられた。