AUDIOLOGY JAPAN
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第55回日本聴覚医学会主題演題特集号
「補聴器適合検査」 「突発性難聴」
補聴による会話レベルの語音明瞭度の改善
松平 登志正原 由紀鈴木 恵子上前 牧大沼 幸恵井上 理絵大橋 健太郎渡辺 裕之佐野 肇岡本 牧人
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2011 年 54 巻 2 号 p. 162-168

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抄録

語音明瞭度検査による補聴器の適合判定の目安を得ることを目的として, 補聴器外来で実施した589例の検査結果について, 音場における65dBSPL (会話レベル) の語音明瞭度の補聴による改善と, これに関与する被検者と補聴器の要因について調査した。また, 望ましい補聴器装用状態では語音了解度指数と語音明瞭度の関係が裸耳と補聴時で変わらないと仮定して語音明瞭度改善の目標値を求め, 実際の症例の検査結果と比較した。
会話レベルの語音明瞭度は, 平均聴力レベルが65dB付近の症例で最も改善量が大きく, 平均聴力レベルが40~90dBであった症例の語音明瞭度は平均31.7%改善した。重回帰分析の結果, 裸耳の語音了解度指数, 裸耳の最高語音明瞭度, 補聴による語音了解度指数の増加量を説明変数としたときに, 語音明瞭度の改善量との重相関係数が最大となった。裸耳に比べて補聴器装用時に最高語音明瞭度の低下が認められなかった症例では, 会話レベルの語音明瞭度の改善の平均は目標値と等しかったのに対して, 補聴時に最高語音明瞭度が低下した症例では, 目標値に届かない場合が多かった。

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© 2011 日本聴覚医学会
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