AUDIOLOGY JAPAN
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原著
聴性定常反応における補充現象の検討
窪田 俊憲伊藤 吏渡辺 知緒阿部 靖弘千葉 寛之井川 信子鈴木 豊青柳 優
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キーワード: ASSR, 小児難聴, 補充現象, 補聴器
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2011 年 54 巻 3 号 p. 222-229

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抄録

補充現象は, 補聴器フィッティングを行なううえで, 重要な指標の一つである。しかし, 小児難聴において周波数毎に補充現象を評価できる他覚的検査法は存在しない。この問題を解決するために, 周波数特異性の高い聴性定常反応 (ASSR) を用いた補充現象の評価について検討した。
補充現象を認める感音難聴者12名12耳と聴力正常者14名14耳を検討の対象とし, 40-Hz ASSRと80-Hz ASSRにおいて, 刺激音圧 (dB SL) の変化に対するASSR反応成分のpowerを比較検討した。
40-Hz ASSR, 80-Hz ASSR共に, 刺激音圧が15~35 dB SLにて難聴群のpowerが聴力正常群と比較して有意に大きく, 刺激音圧の増大に伴うpowerの増加の割合も, 聴力正常群と比較し難聴群で有意に大きかった。
40-Hz ASSR, 80-Hz ASSR共に, 刺激音圧の増大に伴うpowerの増加の割合が大きいことは, 補充現象によるものであると考えられた。

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© 2011 日本聴覚医学会
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