2011 年 54 巻 4 号 p. 270-276
新生児聴覚スクリーニングにより月齢2ヵ月以前に受診した208例を対象に, 初診時に実施した1kHz, 3kHzの聴力レベル50, 70dB刺激による聴性行動反応聴力検査 (BOA) の結果を確定診断との比較により検討した。両側または片側の聴力が正常でもBOAの反応がなかった例がある程度認められた。50dBに反応があったほぼ全例, 70dBに反応があったうちの約90%の例は両側または片側の聴力が正常であった。反応があった例では高度難聴は極めて稀であった。また, 初診時以降の難聴進行が疑われる例があった。被検児の睡眠に関する状態別の検討では入眠時が覚醒時, 睡眠時に比べて反応が得られやすかった。月齢2ヵ月以前のBOAでは, 反応が得られない場合に難聴の有無や程度を推測するのは不可能であるが, 反応が得られれば精密検査や診断の参考になり, また保護者指導の際の有用な情報になると考えられた。