2012 年 55 巻 1 号 p. 48-55
自由会話における沈黙, 及びミニマル反応の出現と訂正方略の活用について5-8歳の人工内耳装用児 (CI児) 14名と同年齢の聴児11名を比較した。手続きは対象児と検査者の自由会話からスクリプトを作成し, 会話中の沈黙, 及びミニマル反応と訂正方略の活用の出現率を分析した。更に, 背景要因である語音明瞭度, 人工内耳施術年齢, 装用後期間, 言語性知能, 平均発話長との関連性についても検討した。また, 訂正方略の活用数についても比較し, 背景要因との関係も検討した。その結果, CI児は聴児に比べて会話の沈黙, 及びミニマル反応が多く, 特に沈黙が多かった。沈黙, 及びミニマル反応と関係する背景要因は確かめられなかった。訂正方略の活用は, CI児は全体型が多く, 確認型や限定型においては聴児との差は認められなかった。確認型の活用と関係する背景要因は言語性知能であった。