補聴器装用の先天性重度難聴児2例の就学時と高学年時の言語発達経過を比較した。2例は裸耳および補聴聴力が同程度で同時期から言語指導を開始し, 就学時の語音聴取能, コミュニケーション手段, 言語能力等に差がなかったが, 就学後にも指導を継続した例と就学時に指導を中断した例では高学年時の語音聴取能, コミュニケーション手段, 言語性知能, 語彙年齢, 読書力, 作文能力, 構音明瞭度に差がみられた。指導継続例では中学年頃まで読解・作文力に遅れがみられたが, 語彙力, 文法力, 読書力, 作文能力の基礎となる指導を中学年時まで行い, 4年生から読解・作文指導に重点を置いた指導を行った結果, 高学年時には学年相応の読解・作文力が獲得された。読解指導では表象形成や推論能力を補足し, 指導の際, 文字をベースに音読を利用することが有効であると考えられた。また, 聴取訓練や構音指導は中学年頃まで継続することが有効であることが示唆された。