AUDIOLOGY JAPAN
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「難聴の遺伝子診断」「先天性一側性難聴をめぐる諸問題」
一側性難聴児における雑音下での文聴取能力とFMシステム利用の効果
小渕 千絵廣田 栄子
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2014 年 57 巻 2 号 p. 143-150

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抄録

要旨: 一側性難聴による雑音下の文聴取への影響と FM システム利用の効果について検討した。学齢期の一側性難聴児3例に対し, 日常生活上の聞き取りにくさに関する問診と雑音下の文聴取課題である HINT-J を実施し, 健聴児の結果と比較した。この結果, 一側性難聴児では雑音の方向に関わらず健聴児に比べて文聴取閾値の上昇がみられ, 特に健聴耳側 Noise 条件では3例中2例で SN 比 0dB 以上でなければ文の聴取が困難であった。次に, 対象児1例に, 増幅機能のない FM システムを貸与し, HINT-J 及び2種の質問紙を用いて装用効果について検討した。FM システムの利用により, HINT-J においては難聴耳側, 健聴耳側どちらの Noise 条件でも聴き取りの改善がみられ, 質問紙においても会話音の聴取に改善がみられた。しかしながら, 心理社会的側面の改善には長期的な支援が必要なこと, 経済的な側面や装用上の課題についても検討すべき必要性が示唆された。

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© 2014 日本聴覚医学会
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