2014 年 57 巻 2 号 p. 156-166
要旨: 首都圏A県全域の公立小学校通常学級で一側性難聴児が在籍する学級の担任教員を対象として調査を行い, 学級担任の評価によると一側性難聴児の教科学習, 言語コミュニケーション, 社会参加, 活動的行動について, 著しい問題はみられず, 一側性難聴が言語発達や学業には直接的な影響を及ぼすわけではないことが示唆された。学級適応に特に問題を呈した一側性難聴児では, 他障害を併せ持つ傾向が指摘された。また, 幼児期早期からの難聴が言語発達に及ぼす影響に関しては, 軽度難聴児よりも一側性難聴児の方が影響は少ない一方で, 感情抑制等情緒発達については一側性難聴児の方が低く, 周囲に難聴を開示しない傾向にあり, 一側性難聴児と軽度難聴児では質的に異なる問題点があると考えられた。一側性難聴児童への支援には, 本人や家族, 教育関係者に対して十分な理解を促し, 児の状況に応じた支援・指導の必要性が示唆された。