AUDIOLOGY JAPAN
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原著
中学校以上に進学した人工内耳装用児における聴取・発話・語彙力の検討
冨澤 文子河野 淳芥野 由美子野波 尚子西山 信宏河口 幸江鈴木 衞斎藤 友介
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2014 年 57 巻 4 号 p. 250-257

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抄録

要旨: 当院で人工内耳植え込み術を行った装用児のうち, 現在中学生以上になり, 継続的に通院している43名の人工内耳装用閾値, 単語了解度, 発話明瞭度, 語彙発達指数について検討した。手術時年齢別にみると, 2-3歳手術群で単語了解度と発話明瞭度がよく, 手術時年齢が上がるにつれて単語了解度も発話明瞭度も低下した。装用閾値と語彙発達指数は, 各群において大きな差はみられなかった。就学状況別の検討では, 語彙発達指数が良好な症例が小学校でも中学校でも普通学校に在籍する傾向があり, 聴取能 (単語了解度) は必ずしも関与しなかった。個々にみると, 単語了解度と語彙発達指数が特に問題のない症例でも, 人間関係やアィデンティティーの問題に悩み不登校になる場合もみられた。重度難聴児が早期に人工内耳を装用することで聴取能や発話明瞭度, 言語発達の改善など期待されるが, 個々のケースに合わせて患児の成長を支援し多方面からバックアップしていくことが重要であると考えられた。

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© 2014 日本聴覚医学会
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