AUDIOLOGY JAPAN
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原著
補聴器のファンクショナルゲイン測定時にマスキングを必要とした症例
松平 登志正原 由紀鈴木 恵子佐野 肇大沼 幸恵井上 理絵矢崎 牧渡辺 裕之木村 朱里牧 敦子岡本 牧人
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2015 年 58 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

要旨: 補聴器の適合判定の際にファンクショナルゲインの検査を行った191症例298耳 (両耳適合107例, 片耳適合84例) を対象に, 非検査耳の遮音とマスキングの必要性について調査を行った。 このうち66例 (34.6%) で少なくとも1周波数において挿耳形イヤホンによる遮音のみでは陰影聴取の可能性ありと判定され, その約半数で陰影聴取が確認された。 補聴器の両耳適合例では聴力が悪い方の耳の適合時にマスキングが必要と判断されることが多かった (51.4%) が, 片耳適合例では, 聴力の良い方の耳に適合する症例が多かったためマスキングを必要とした症例は少なかった (13.1%)。 低い周波数の検査で陰影聴取が多い傾向を認めた。 低周波数では, 挿耳形イヤホンの遮音度が悪い, 聴力の左右差が大きい, 補聴器の利得が低い (補聴時), 等が原因と考えられた。 検査時間の短縮が必要な場合は, 裸耳の閾値をイヤホンによる閾値で代用する, 実耳挿入利得の測定, 耳栓とイヤマフによる二重の遮音などの対応が考えられた。

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© 2015 日本聴覚医学会
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