AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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原著
先天性一側性難聴乳幼児の実態に関する検討
白根 美帆牛迫 泰明山本 麻代近藤 香菜子倉澤 美智子松田 悠佑中島 崇博東野 哲也
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2015 年 58 巻 3 号 p. 182-188

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抄録

要旨 : 新生児聴覚スクリーニング検査の普及に伴い, 先天性一側性難聴の疫学的検討が可能となった。我々は, 宮崎県の難聴児支援システムにより先天性一側性難聴児の発現率やその背景を明らかにした。2010年1月から2012年12月までの宮崎県の全出生児35,095人の内, 先天性両側性難聴は36人 (0.10%), 先天性一側性難聴は30人 (0.09%) であった。合併症のある例は, 両側性難聴は17人 (47%), 一側性難聴は17人 (57%)で, 両側性難聴は発達遅滞の合併が15人 (42%) であったが, 一側性難聴は頭頸部奇形の合併が11人 (37%) であった。感音性難聴に限定すると, 両側性難聴は31人 (0.09%) であったが, 一側性難聴は17人 (0.05%) と半減し, この内, 一側聾は11人 (0.03%) であった。先天性難聴においては, 両側性, 一側性ともに同頻度に発現するが, 感音性難聴だけでみると一側性難聴は両側性難聴の半数に留まるのではないかと考える。また, 近年ムンプス聾が増加傾向にあると言われているが, 今回の検討より, 乳幼児の一側聾は先天性要因が多数を占める可能性が高いと考える。

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© 2015 日本聴覚医学会
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